https://youtu.be/GAwyrETFnxA
百名山

百名山2座目:富士山富士宮口~Risi’n Brake~(09.09.06)

前回の富士山は火口に登れはしたが悪天候で景色は見れず最高峰は取れず
高山病との闘いで全く楽しめずで心残りしかなかった。
それは同期とて同じようで今シーズン中にリベンジしたいという想いは一緒だった。

高山病について調べると天候が悪化すると気圧が下がり
相対的に標高が上がって症状もきつくなるそうだ。
ならば次は絶対に晴れで登ろう。そして最高峰・3776mの剣ヶ峰を取ろう。
そのために掲げた条件は4つ。

➀天候の安定する秋
➁高知順応するための駐車場の標高を上げる
➂剣ヶ峰まで最短ルートを選択する
➃山頂で夜明けを見る

これらすべての条件を満たすのは
静岡県側・富士山スカイラインの先にある標高2385mの富士宮口。
➃は高地順応時間減って高山病対策としてはマイナスだけど
最短の富士宮口だからできることだし夜明けの魅力には抗えない。
そして何より前回と同じことをしても成長しない。
これは自分の限界をぶっ壊す登山だ。
秋晴れを確信した9月の1週目。止まっていた俺たちの時間は再び動き出した。



高速道路より目指す頂が近づく。
改めてこの大きさ前にすると前回の恐怖が蘇る・・・

今回も相棒を用意。
最高峰でお前は真の姿に。
俺たちは真の漢になってやろうじゃないか。

スカイライン5合目到着。
早い時間に行ったこともあり今回は無事駐車場に車をねじ込むことができた。
標高は2385m。生き物のように流動する雲が夕陽と戯れる。
ひんやりする空気と少し頭が締め付けられるような違和感はある・・・
しっかり高地順応して克服するんだ。

早くもわさビーフ第二形態。
ここから1500m耐えられるか?

今回は少しでも快眠を確保すべくテントを用意。
車の後のスペースに無理やり張り順応仮眠開始。
が、緊張と周囲の登山者が騒がしくなかなか寝付けない(泣)

結局寝たような寝てないようなあやふやなまま出発時刻に・・・
テントから這い出ると月下に鎮座する愛鷹山と富士の裾野に広がる夜景が見えた。
よし、天気は申し分ない。あとは自分を信じるだけだ。
深夜12時に5合目を発つ。



ナイトハイクは初めてだが登山者は多く登山道も明瞭なので不安は少ない。
月光がかなり強くヘッドライトが無くても登山道の状況が見えるくらいだ。
暗くて写真もあまり撮れないので黙々と登り続ける。
後を振り返ると登山者のヘッドライトが登山道に連なる幻想的な空間が広がる。
若干高山病の気配はするが足が止まるほどではない。いけるぞ!

ひたすら登山に集中していたら目の前には山頂の鳥居が・・・
コースタイムを若干巻くペースで拍子抜けするくらい簡単に登れてしまった。
前回の苦労はなんだったんだ・・・好天とルート選択次第でこれほどまでに変わるとは。

俺『計画通りだな!あとは剣ヶ峰を取るだけだ!どっちだ?』
同期『人集マッテルシアッチジャネ?』
右回り(逆方向)に歩きだす同期←

俺『いや山頂明らかにあそこじゃね?遠ざかってね?』
同期『マジカ、マァモウタイヨウデルシムリッショ』
仕方なく朝日岳という小さなピークで夜明けを待つことに。

わさビーフ第三形態。袋の弛みに余裕が無い。あともう少し耐えるのだぞ。
夏だけどご来光時の気温は10℃くらいまで下がりダウンジャケットを着てないと辛い。
動かないことによる体温低下+汗冷え+夢が叶う武者震のトリプルパンチで
顎が激しくビートを刻む。

その刻は来る。雲の中から生まれるように出てきた太陽。

光は強さを増し雲海を少しずつ染め上げてゆく。
陽光が体を温め活力が漲ぎってゆく壮大な一日の幕開け。
間違いなく人生最高の夜明けだった。
天候・体力・体調すべてがかみ合わさってこと拝める奇跡に鳥肌が止まらなかった。

天の道を征き、総てを司る!

剣ヶ峰に太陽が当たり始めると同時に火口の壮大さに目を奪われる。
歩くのが楽しみだ!



夜明けタイム終了。さぁ目指すは最高峰!

右を見ると常に太陽と雲海の絶景が広がる。
いつでも自然から力を貰える最高の稜線だ。

半周ほど歩くと前回登った須走頂上へと合流する。すごい人だかりだ・・・

いや多すぎだろ・・・通勤ラッシュかよ。
アクセスの良い吉田口と須走口が合流するのだから人の数は富士宮の比ではない。
標識で記念撮影したかったけどのこの人数では諦めざるを得ない。
須走頂上は颯爽とすり抜ける。

このあたりから高山病の症状が強くなり三点支持モードに移行。
平坦を歩いてるだけなのに物凄い酸素を消耗する。これが3700mの領域か・・・

剣ヶ峰まではまだ若干の登りがある・・もってくれよ俺の体。

外人『What is this creature…?(何この生物?)』
って思ったに違いない。これが一番楽な姿勢なんだよ。

射程圏内。ゴールは目の前だ・・・!

右手を見ると朝日で富士山の影ができる『影富士』が現れていた。

同期『ヲー、カゲフジスゴイナ』
俺『・・・』
景色を見る余裕もリアクションを取る余裕がない。
歩くことのみにすべてのリソースを注ぐ。

なんとか山頂直下までたどり着くとすさまじい行列ができていた。
俺『ウソやん。。。これ待つの?』
同期『アッチカライコウゼ~』
行列の脇から上がってる人たちが居たので後を追う。

なんだ行けんじゃん。
下の行列は記念撮影待ちの人たちだったようだ。
あまり自撮りに興味もなかったので人の入れ替わる瞬間に標柱だけサッと撮影。

広くない山頂だが人の入れ替わりが激しいのでスペースの確保は簡単だった。
座って一息付くと感動が沸きあがってきた。
俺たちは日本の最高峰にたどり着いたんだ!!(嬉)



わさビーフファイナルフォーム。
日本最高地点でも耐えられたお前も真の漢だ!

同期『イマラクニシテヤル!』
炸裂音とともにわさびの香りが広がる。

具合悪くてほとんど食べれなかったけど
日本最高地点の山頂標石を見ながら齧る一枚は格別の味だったなぁ。

飯の後は撮影タイム。
剣ヶ峰からは火口の深さと凄まじさがより鮮明に。これは落ちたら助からないな・・・
前回無理してお鉢巡りしてたらこの中に吸い込まれていたかもしれない。

西側は影富士の向こうに無限の青空が続く。
日本にここより高い場所はない。そう思わせるに足る絶景だった。

名残惜しいが下山の時だ。
馬の背より山頂を振り返る。またいつか、帰ってくるからな。

なん・・・だと?
登山道をヒルクライムしてきたのか、担いで登ってダウンヒルを楽しむのか
何にせよ富士山にはこんな楽しみ方もあるんだなぁと感心した。
いろいろ厳しくなってる今は無理そう。黙認されてた時代の貴重な一枚。

富士山頂に現れる三本足のクリーチャーともお別れです←
ここからは歩くほど体調が良くなるのだから気合も入る。

富士宮頂上へ帰還しお鉢巡り完了!
普通に一周するだけなら1時間半のところ3時間ガッツリ楽しんでしまった。
前回楽しめなかった分はしっかり取り戻したぜ。



鳥居をくぐり青空の中に飛び込む!

空と岩のみで構成された世界。単調な登山道って言われがちだけど
こういうシンプルな美しさも魅力だと思うのよね。

富士山恒例の屍。
負けんなよ!と心の中でエールを送る。

頂上以外の山小屋はほとんど閉鎖されており
看板類は外され屋根も格子と小石で鉄壁ガード。
冬の環境は凄まじさが想像できるなぁ。

お、これが荷物運んでるブルか。
山で重機が往復してるのも富士山ならでは。
ブルで山頂まで運ぶサービスがあってもいいんじゃない?

観光地でよく見るコインがねじ込まれた木。
山頂の浅間神社の賽銭箱に放り込めばいいのに・・・マナーがよろしくない。
富士山も山というより観光地化してるという現実が垣間見える。

6合目付近からは雲海へダイブ。
火照った体を丁度良くクールダウンしてくれた。

五合目を経て・・

下山完了!
全て計画通りのリベンジは大成功。俺たちはやりきったんだ。
半月山で共に山に目覚め、共に経験を積み、
共に志した目標を叶えられたことが溜まらなく嬉しかった。これが青春だよ!!

どんな形であれ『日本一に立った』という事実は
これからの人生の中で揺るがない自信となるだろう。
俺『お疲れぇい!!』
同期『ウェイ!』
虚空で交わされた掌の音が、富士の青空に響き渡った。

ルートレビュー

難易度:D
須走と同じくこちらもルート整備は完璧。
標高と天候変化のみに注意すべし。

体力度:B
標高3776m 標高差1391m 平均斜度13.9°
(お鉢巡り込みの斜度、剣ヶ峰直登の場合は19.8°)
登り6:36(5.8km) 下り3:48(4.1km)
全登山道中剣ヶ峰までの距離が最短なため確実に山頂を取りたい場合おすすめです。
その分斜度は増えるため高山病対策は抜かりなく行いましょう。

展望:B
5合目の時点で森林限界のため常に雲上の山歩きを楽しめます。
登りの最中は愛鷹山と相模湾周辺しか見えない単調な景色となりがちですが
お鉢巡りは溶岩の稜線、火口のスケール感、影富士など絶景の連続です。

総評:B
晴れていると全く別の印象になる山。
どうしても混雑しがちなので自然を楽しむという感覚にはなりにくいですが
やはり日本一の頂の立つというのは特別なものがあります。

締めの一言
いい加減山装備買おうよ←

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