百名山

百名山58座目:鳥海山~すべては此処に在る~(15.07.05)

蔵王山を下り俺たちは更に北へと車を走らせる。
次に狙う山は・・・鳥海山(ちょうかいさん)だ!

鳥海山は山形と秋田の県境にある独立峰の活火山。
雪の積もった端正な姿が富士山に似ていることから
出羽富士や庄内富士の愛称でも呼ばれている。

山の東側が日本海に面しているにもかかわらず標高が2236mとかなり高い。
もしや山頂から水平線と地平線が同時に拝める・・?
そんな絶景の予感しかしない地理条件を持っているのが特徴だ。

翌日の予報は久々に晴れ。
ようやく東北の夏を満喫できそうだ(´ω`*)
明日の絶景を信じ麓の道の駅で一夜を過ごしたのだった。



早朝に道の駅を出発して山の西側にある
鳥海ブルーラインを駆け上がって登山口の鉾立山荘へ到着。
車から出ると・・・あれ?もう山頂?というレベルの絶景が飛び込んでくる。
鉾立山荘は標高1158mの雲上の駐車場。
隣にある稲倉岳の向こうから静かに太陽が昇ろうとしていた。

進む方角には既に山頂らしきものが見えている。
もしや今日歩くルートは一日中景色拝めるのでは・・・?

山『おお~すげぇ~』
いつもなら二度寝をかますヤマアキ氏も車から出て周囲の撮影を始めている。
俺『いい景色撮ってくるぜ!例の作戦もヨロ(゚∀゚)』
山『おけ~』
今回も蔵王と同じく贅沢に縦走させてもらおう。
意気揚々と6:00に登山口に向かって走り出した!



入山直後から見事な残雪が登山道を覆っている。
鳥海山は日本海に面し積雪量が多いため例年山開きが富士山並みに遅く7/1から。
なので開通した直後は夏にもかかわらずこんな状態なのだ。

半溶した雪面は風紋とはまた違う見事なパターンを形作る。
夏なのに雪と戯れられるというなんとも不思議な感覚に酔いしれる(´ω`*)

雪遊びしながら登り続け8時頃に稜線との合流地点・御浜小屋に到着。
バッジを買って小屋の先に進むともうそこは楽園だった。



鳥海湖を取り囲む残雪とミヤマキンバイの花々。

雲海に映えるニッコウキスゲ。

稜線の先にはカルデラと外輪山が複雑に入り交じった鳥海山の雄姿。

そして緑の稜線に重なる残雪。
新緑と残雪が斑模様になるなんて雪の多い東北ならではの景色と言えよう。
白青黄緑、強烈な原色が目に飛び込む南アルプスを思わせる優美な山容に
過去最高にワクワクしている自分が居た( ゜∀ ゚)



絶景に心を奪われながら歩き、
9:20頃にカルデラ入口である七五三掛(しめかけ)に到着。
ここから外輪山ルートと千蛇谷ルートに分岐。
どちらも非常に魅力的だが目の前に残雪に惹かれ千蛇谷ルートに足を踏み入れた。

振り返ると青・緑・白に染まる視界。
・・・ダメだ、美しすぎる(*´Д`)

カルデラの内側は溶岩の目立つ荒々しい山容に変化し始める。
・・・そういえばここ火山だったなw
美しすぎてそんな印象なくなってたわ←



10:30頃にピーク付近の神社に到着。
ここが山頂・・・?

Σ( ゚д゚)!?
じゃない、まだ先がある!
神社の先からは溶岩ドームが形成された最高峰・新山に向けての道が続く。
ここから急に北アルプスを思わせるハードロックな山容に変化。
麓から見たイメージとまったく異なる光景に圧倒される。

溶岩による要塞の隙間を縫うように歩いてゆく。
ルート上には進行方向を示すペイントはあるもの
ガイドロープやチェーンは一切なく直接岩登りする箇所は多め。
だが恐怖より岩を攻略していくアスレチック感に夢中に!



15分岩と戯れ続け、あっというまに新山登頂!!<(^o^)>

なんだよこれ・・・もう完全に北アルプスじゃん。
さっきまでの南アルプス感どこにいったんだよ( ゚д゚)

溶岩の向こうには青空と湧き上がる雲。
うわーこれ雲無ければ絶対日本海見えたんだろうなぁ~( ´Д`)
それでも全然満足できる景色に違いは無いがな!



この絶景とともに腹を満たすべく山頂儀式に取り掛かる。
今回も尾西の松茸ごはん。
やはり安定して美味い・・・しばらく山飯はこれでいいや。
流れる雲と登山者達を眺めながらのんびりと1時間滞在(´ω`*)

12:00に神社付近まで戻り小屋の調査開始。
そこにあったのは山小屋でもなく神社でもなく・・・美術館!?( ゚Д゚)

中に入ると廊下の周囲に飾られたアート群が。

鳥観図で書かれた鳥海の姿。
これ見ると山のカタチと歩いてきたルートが手に取るように分かる。

そして雪を被った厳冬期の新山や・・・

東北の名山である朝日連峰の稜線までも。
山好きの琴線に触れるアーティスティックなイラストを堪能できる。
まさかこんなものまであるとは・・・
鳥海はどこまで俺を楽しませてくれるんだ?(*´з`)



新山は堪能したので次は外輪山に登るべくカルデラを這い上がる。

12:40に山頂標石のバーゲンセール状態となっている
外輪山ピーク・七高山へ到着。
そこからの眺めは・・・

残雪の乗った新山がドーーン!!( ゚д゚)
さっき登った山をこんなに近くから眺められる感動。
浅間山とか雲仙岳は最高峰登山禁止だし
ピークと外輪山を同時に登れる山なんて今のとこ鳥海山だけじゃないか?
それぞれの頂からそれぞれの良さそ知ることができる。
火山の魅力は外輪山にあり、だな(。-`ω-)b



七高山からは外輪山を西に歩き行者岳→伏拝岳と縦走。
分岐路から南側の湯ノ台口コースへと下山する。

このルートの目玉は心字雪渓!\(^o^)/
『心』という文字に見えることが由来の広大な雪原が広がる。
太陽の照り返しが強烈なのに肌寒くここが東北であることを強く感じさせる。

時折霧に覆われもすればそこは白銀の世界。
あれ?俺冬山登ってたっけ?( ゚д゚)←
と、夏の火山であることを忘れそうになる瞬間が度々訪れる。

シリセードで下山する登山者達♪
クッ、俺もスノーボード持ってくるべきだった!←
皆全力で鳥海山を楽しんでいて微笑ましい(^-^)



雪渓の切れ端に立つ河原宿小屋に14:10到着。
ここで最後の小休止を取り一気に下山する。

標高を下げるとよく知る夏山の空気と雰囲気に。
変化の連続にもう感情と感動がぐちゃぐちゃになっていた( ꒪﹃ ꒪)

最後は雪解けのせせらぎを聴きながら緑豊かな草原を歩く。
気温も上がり汗ばむ暑さとなるが、それが心地いい。
心が少年時代に還っていくような至高の満足感に満たされていた(´-`)

15:00に最後の滝ノ小屋を通過。
ああ、夢のような時間が終わってしまう・・・(´;ω;`)

15:15、湯の台口に下山!
既に駐車場で待機していたヤマアキ氏をロングショットで盗撮の後、
背後から奇襲して今日の感動を一気に語りつくしたのだった( ;∀;)←



車で麓まで下り振り返る鳥海山。
あぁ、やっぱこう見ると穏やかなんだよな。
本当に魅力しかない山だった・・・

続いて鳥海山麓の玉簾の滝へ。
ここは2009年の春に夜明けドライブ山形編で訪れた思い出の場所。
滝壺付近まで近づけるのでノリで突撃して全員でビチャビチャになった記憶が蘇るw
ま、今回は九州遠征でカメラ壊していろいろ学んだ後なんでね。
近づきすぎず真面目に写真撮影に勤しみますよ?←

最後は日本海に落ちる夕陽をプリウスと見送る。
ヤマアキ氏希望で太陽が水平線に沈む瞬間緑に光るという
『グリーンフラッシュ』という現象を狙ってみたのだが全然オレンジのまま( ´Д`)
気象条件にも左右されるので捕らえるのはなかなか難しいとのこと。
それでもこの夕陽が美しいことに変わりはないよな。
心も、体も、取れ高的にも大満足な一日だった。

鳥海山・・・風光明媚で色鮮やかで複雑な山容は
今まで登った火山の中で一番バリエーションに富んでいた秀峰。

南アルプスのような穏やかな山麓と、北アルプスの険しさを持つ山頂。
夏山を感じさせる高山植物の宝庫に、冬山を感じさせる心字雪渓。
麓から見れば普通の山で、登れば火山の激しさを知る。
地平線の彼方から、水平線の彼方を見渡せる眺望。

山に求める、すべての要素が、此処にはあるんだ!!!(´;ω;`)



ルートレビュー

難易度:C
山開き直後は残雪の上を歩く箇所が多いため
チェーンスパイクは持っていると安心です。
新山から突然岩登り要素あり。
ガイドペイントはあるものの鎖やロープ類は全くないので
完全に自力で岩を掴んで登るスリリングな登山を楽しめます。

体力度:C
標高2236m 標高差1105m 平均斜度9.4°
登り5:05(6.8km) 下り4:30(5.8km)
日帰りでは距離、標高差共に程よい強度で中級者レベル。
山頂には山小屋もあるのであえて一泊する贅沢な選択も可能。
ゆっくり登ってこの素晴らしい世界をじっくり楽しんだ方が
満足度は高いかもしれません。

展望:S
最初から最後まで抜群の眺望。
北/南アルプス、夏/冬山、火山/普通の山、地平線/水平線。
と、相反する要素を一度に体感できるとても贅沢な山です。

総評:S
様々な要素が変化し続け次から次へと襲い来る絶景。
ドキドキとワクワクの連続で少年の心に還れる山。
約9時間の登山が本当にあっという間。
一生に一度は登る価値のある山です。

締めの一言
こうして鳥海は百名山で一番好きな山となったのだ。


カメラの交換用レンズバッグを探していた時に出会ってしまった逸品。
これが俺と神ブランド・パーゴワークスの出会い。
本来はザックの前側にブラ下げて使用頻度の高いアイテムを
素早く取り出せるというアイテムなのだが・・・
SONY Eマウントレンズが丁度3本入るサイズ感。
ザックの右腰ベルトに通すことのできる背面のループ。
横につけた時に邪魔にならない絶妙な薄さ。
レンズバッグとして完璧すぎるアイテムだったのだ。

ただレンズ3本の重量を右腰に装着すると
腰痛になるというデメリットが出てきたので
本来の使い方通り正面に下げたほうが無難・・かな。
一度使うとその便利さ故手放せなくなるアイテムです。

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