https://youtu.be/GAwyrETFnxA
百名山

百名山48座目:御嶽山~爆炎の奇跡~(14.09.27 Day.1)

SNSの集い第八弾。
北アルプスの興奮冷めやらぬ次の週。
槍ヶ岳から眺めた二つの未踏峰・御嶽山と乗鞍岳の美しさが心に残っており
次に挑むはこの2座と決めていた。
ルートを調べるとどちらも3000m峰でありながら日帰り可能。
隣り合う位置関係にあり一泊二日で二座まとめて登れそうな目途が立った。

ここでSNSメンバーに招集かけてみようかな?と思いつく。
グループメンバーは俺対他という交流は多かったものの
それ以外のメンバー同士の交流は盛んではなかったので
新たなる交流を促すべく一泊二日の宿泊登山を企画しグループに投下してみた。
ドライバーを一人確保できたことでうまいこと参戦者が集まり
自分含めた8人という大所帯に。

いや~1年前は孤独に山を登っていた自分が
ここまで人を集められるようになったとは感慨深い・・・(´;ω;`)
これは今年の登山の集大成になりそうな予感がした。

人数が確定した所でまず初日のターゲットを御嶽山(おんたけさん)に決定。
標高3067mの活火山で3000m峰としては最西端の山。
乗鞍岳の南に座するが北アルプスには属さない
周囲に巨大な裾野を広げる立派な独立峰だ。
高山ではあるが標高2200mまで車道が通じているため
日帰り可能な初心者でも登れる山となっている。

その迫力のある幅広い頂からSNSグループからも
行ってみたかったという声の上がる人気の山。
これだけ人数が集まったのも頷ける。
前日に各自最寄り駅にてメンバーを拾いSAで合流してひとまず顔合わせ。
2台で中央道を爆走し御嶽の麓を目指したのだった。



前夜は道の駅木曽福島でテント&車中泊。
初日からキャンプ気分で楽しくて仕方がない。
前夜から会話が盛り上がりすぎてうっかり目覚ましの時間を
1時間かけ間違え道の駅を発ったのは7時。
・・・この1時間の遅れが後に重要な意味を持つことになる。

8:30頃に登山口である標高2200mの田ノ原駐車場へ。
山岳路を登っている途中は何も見えないのだが
ここからは御嶽の壮大な山体が一気に姿を見せてくれる。
各自写真撮影タイムに突入。

準備を整えたところでまずは出発前の記念撮影といこう。
今回のメンバーは・・・
鍋割山,至仏山で咆哮を響かせたケイタ。
草津白根山北岳で誓いを果たしたタカさん。
日光白根山で山飯を振舞ってくれたイズ,てら,せいちゃん。
北海道遠征の雌阿寒岳北ア大縦走を共に乗り越えたヒロシ。
そして今回の新メンバーである
四阿山,苗場山,鍋割山,至仏山で一緒だったまみさんの同僚であるえぐっちゃん。
最後に通りすがりの百名山ハンターである俺!←

さらにタカさんのアイデアによる円陣撮影で全員の心にエンジンがかかる。
青空に輝く笑顔がまぶしい総勢8名の大所帯。
リア充、ここに極まれり←



さぁ、楽しい登山へ出発だ!!ε=(  ゚∀ ゚)

皆景色にリアクションしたり撮影に興じたり会話弾ませたり喜々とした表情。
いや~企画者冥利に尽きるわ(´∀`)

登山口の紅葉は始まりといったところ。
山頂付近の色づきが楽しみだ!

登り始めて早々雲に包まれてしまうが皆のテンションは高いままだ。

11:00に王滝口頂上山荘に到着。
全然まだ先あるけど何をもってして頂上なんだろう?
バッジを発見するが山頂には頂上とか書いてある特別なの売ってそうだな~
と思いつつ保険のためとりあえず購入。



率先して皆の会話をつないだりカメラの前でリアクションくれたりと
ムードメーカーとしていい仕事してくれるてらぽんv(‘ω’)v

とりあえずカメラを向ければ誰か何かしらリアクションしてくれるのがありがたい。
クールに決めるヒロシ、はっちゃけるケイタ、謎ピースするえぐっちゃん。
それぞれのポーズに個性あり人撮ってるだけで面白いw

道中の御嶽神社にもお参り。
『楽しく無事に帰れますように!(-人-)』
・・・この祈りも後に重要な意味を持つことになる。

八丁ダルミにある石像前に到着。あとは晴れてくれればな~( ´Д`)

あと少しで山頂という所で祈りが通じ青空が見えてきた!
喜々として先行する他のメンバー。
若干高山病を発動していたので最後尾となる俺←

山頂から二つ下にある剣ヶ峰山荘にたどり着き売店を物色すると
予想通り『御嶽頂上』というバッジを発見( ´Д`)
やっぱりな・・・まぁとりあえず3つくらい買っとくか・・・
と、バッジを台紙からちぎって会計しようと瞬間だった。

 

 

\ゴワァアアアア!!/

『キャアアアア!!』

 

 

背後からジェットエンジンのような轟音と共に悲鳴が聞こえた。
なんぞ?と振り返るとすぐ背後の山体南面から
巨大な黒煙が立ち上る衝撃的な光景が目に飛び込んできた。

このブログのサブタイトル、
そして日付を見て察しのいい方は気づいただろう。

 

 

2014年9月27日 11時52分。

 

 

御嶽山は・・・

 

 

噴火したのだ。

『は・・・?・・え?噴火?( ゚д゚)』
目の前の状況が理解できなかった。
しかし迫ってくる黒煙を見て(あ、これダメなやつだ)
と、本能が危機を察知して咄嗟に体が動き小屋まで走る!
千切ってしまったバッジをカウンターに置き振り返りざまに撮った写真がこれ。
黒煙の壁が迫ってくるのが伝わるだろうか。

同じく状況を察知した小屋番さんが『早く入って!!』と周辺の登山者に警告。
ある程度人が入り切った所で入り口を締める。
その瞬間に噴煙が小屋を覆い、周囲は一瞬で夜のような闇に包まれてしまった。
小屋番さんは『もしもし!!?御嶽山噴火した!!!』
と必死の形相でどこかに電話を始めた。

闇が訪れた次の刹那、噴石が小屋の屋根を叩きはじめる。
最初はコツンコツンとした小さな音から始まり
次第にゴン!、ガン、ガン!!、ババババ!!といった衝撃音に。
石のサイズがどんどん大きく、当たる間隔もどんどん連続になってゆくのを感じる。
大きな噴石の数発は屋根を貫通し小屋内にまで降り注ぎ始めた。

(まずい、このままだといつか噴石喰らっちまう!)
と思ったところでふと我に返る。
・・・あれ、みんなは?( ゚д゚)
先行した俺以外の7名は小屋内には見当たらなかった。
とりあえずグループラインを開いてみると・・・

とりあえずタカさんを含めた5人は一緒で
剣ヶ峰山荘のすぐ上にある御嶽頂上山荘に避難しているとのこと。
イズ、ケイタ、えぐっちゃん3名の安否は不明のままだった。

ここで小屋番が『1階は危ないんで下に降りてください!』と指示。
剣ヶ峰山荘は1階が入り口で地下1階と地下2階が宿泊エリアとなっている三層構造。
階下なら噴石の直撃を防げる確率は上がるはず。
ひとまず階段の近くにいた俺が先陣を切って地下1階に降りる。
暗闇の中をスマホライトで照らしながら先に進むが
噴石は地下1階に達しているようで噴煙と熱気に満ちており危険と判断。
俺『こっちはダメです!下に降りましょう!』
と後続者に指示し地下2階へと降りた直後だった

 

 

バァゴォン!!バリバリ!!!

『ウワアアアアアア!!!』

 

 

巨大な噴石が天井をたたき割り地下2階まで貫通。
俺の前を歩いていた人の足に直撃したのだ。
もうこのあたりから生きた心地がしなかった。

(うわぁ、、、まじかまじか・・・次は俺か?もう助からないのか?)
一瞬心が折れそうになるが、夢追う心が気持ちを奮い立たせる。
(ふざけんな・・・俺は百名山を踏破するんだ。
こんなとこで死んでたまるか!今はできることをやるんだよ!!)

俺『大丈夫ですか!?』
被『いてぇ・・足折れた・・・』
被災者さんに肩を貸し近くの個室まで引きずる。
重症ではあるが頭にダメージは無くとりあえず命に別状はなさそうだった。

被『ありがとう、でも嫁が見つからないんだよ・・・』
俺『奥さんも絶対大丈夫です。生きて帰りましょう。』と、勇気づける。
これはまだ3人の安否が分からない自分に言い聞かせる言葉でもあった。
とりあえず個室にあった布団で包んで体温の低下を防止する。

しばらくして小屋番さんが常備されているヘルメットとマスクを配りに来たので
奥さん情報を伝え探してくれるよう依頼。
・・・しばらくして個室に駆け込んでくる奥さん!!
奇跡的に同じ小屋に避難しており無事だった様子。
泣きながら抱き合う二人。
目の前で起こる感動の再会に個室に居た他の方と同時に自然と拍手が沸き起こる。

俺『いや~よかった・・・とりあえず皆さん、
ヘルメットと一緒に布団も被ったほうがいいです。
いつでも回避動作が取れるように完全に座らずに立膝で。
あとなるべく梁の下にいれば噴石の直撃は避けられるはずです。
絶対に生きて帰りましょう!』
と、周辺の状況から可能な限り生きるための選択肢を探し続けて皆に伝え続けた。

こうして小屋内で過ごすこと約1時間。
屋根を叩く噴石の音は消え窓から少しづつ光が差し込み始めた。
ここで小屋番さんが
『とりあえず小康状態になったんで各自の判断で下山してください。
自分はけが人の救護あるので残ります。』と指示。
動けるようになったので改めて頂上組の状況を確認する。

イズ、ケイタからは反応があり二人の無事を確認。
えぐっちゃんだけが見つからない・・・最悪の結末が頭をよぎる。
・・・が!

ここでタカさんがえぐっちゃんを発見!!
自分以外の7名全てが頂上山荘に避難成功していたという奇跡。
全員の無事を確認できて心の底から安堵した。
あと我々に残されたミッションは一刻も早く下山することのみ。
『皆絶対生きて帰るぞ!』と告げひとまず先に行動を開始する。

同室の被災者さんは状況的に残らざるを得なかった。
奥さんも一緒に残るという。
『無事でいてください!』と肩を叩いてエールを送り
他の同室者二人と共に地下2階を後にした。



1階に戻ると凄惨たる有様だった。
メートルサイズの噴石があちこちを破壊しており中は噴煙だらけ。
(ここに居たら命はなかったな・・・)
建物の裏手がうまいこと崩壊しておりそこから外に出ることができた。


ここで御嶽頂上山荘に避難していたタカさん&イズが
噴火直後~小屋を出るまでの動画を回していたので紹介しよう。
頂上山荘は屋根は頑丈なようで噴石の貫通こそしていないものの
1フロアしかない分外からの影響は大きく
一瞬で暗闇になる窓、迫りくる噴石の衝撃、噴煙の漂う室内
というリアルな恐怖に包まれている小屋内の様子が見て取れる。
自分は小屋内では切羽詰まってて写真撮る余裕ほとんど無かったのに、
こんな状況でも冷静に動画を撮ってくれた二人の勇気に感謝だ。

13:15頃に小屋を脱出。
外はたちこめる硫黄の匂いと生暖かい風が吹く。
噴煙で温められた空気が雲を作り雨が降りそそぐ。
雨に混じった灰がヘルメット、ザック、ウェアをグチャグチャに汚していく。
小屋付近には倒れたまま灰に埋もれている登山者の姿も・・・
青空と紅葉と色鮮やかだった御嶽山は一瞬にして地獄絵図に変わってしまった。

(なんだよこれ、、どうしてこんなことに・・・紅葉時期の昼の山頂なんて
一番人が居る時間帯じゃないか・・なんで、なんで今なんだよ!!
クソッ、俺が先に乗鞍岳登る計画にしておけばこんなことには・・・)
企画者としていろいろと責任と後悔を感じ始めるが
これは予測できない大地の息吹。誰も悪くないのだ。

車のある田ノ原方面へ降りるつもりだったが
周辺の方に話を聞くと登山道が噴煙で塞がれているらしく
東側のロープウェイ方面に降りる流れに従う。

そしてすぐ下にある二ノ池小屋まで情報収集に行ってみる。
中にあまり人はおらず、残っている数人に状況を聞くと
避難してきた集団を小屋番さんが連れて下山したとのこと。
田ノ原方面の状況は不明という。

(参ったな。。。田ノ原行けないと下りないと車回収できないんだが)
自分の目で状況確認するためダメ元で行ってみようとしたところ
頂上組7人も13:50頃に下山を始めたとの連絡が入る。
まずは皆と合流するため再び山荘への尾根を登り返した。

火口は未だ凄まじい噴煙を上げている・・・人がいるとサイズ感が凄い。
そして下山者の集団の中に7人の姿を発見!!
14:00頃に皆と合流して抱き合い無事であることを喜ぶ(´;ω;`)
田ノ原まで無理やり行こうかと思ったけど
皆の顔みたら車なんかどうでもよくなった。
この8人で無事に下山することを優先しよう。



火口からある程度遠ざかり次第に落ち着きを取り戻す面々。
噴煙降り注ぐ中撮影しつづけるタカさん。
灰だらけだけどカメラ大丈夫かな・・・

道中の山小屋で休憩を挟みながら下山する。
小屋内は骨折して苦しんでいる方、顔面から流血している方、
『この中に医療関係者居ませんか!!』と呼び続ける方、
噴煙を浴びて真っ白で放心状態になっている方もおり
いつもの安らげる空間ではなかった。

登山靴にねちゃねちゃした灰がへばりつき
思うようにペースは上がらず時々転びそうになる。尾
それでも最後尾から皆を見守るように歩き続けた。

15:50頃に通過した沢。
流れる水も全て灰色に染まっている・・・

そして16:45に中ノ湯登山口に到着。
駐車している車はこの有様。
噴石は飛んできてなさそうなので我々の車も同じ状態で済んでいると祈りたい。

灰の雨を浴び続けたヘルメットとザックはこの有様。
命を守ってくれて助かったぜ。



やはりというか当たり前というか登山口には
警察・消防・報道関係者がひしめいており物々しい雰囲気。
皆の表情にも安心と疲れが入り交じる。

無事を喜び記念撮影。
恐ろしい状況の中、全員この足で降りてこられた奇跡を噛み締める。

誰もケガしてない、誰も泣いていない。
登り始めの時と同じ、いい笑顔で下山できた!

状況が状況だけに市の臨時バスが動いており
ロープウェイ麓の駅まで下ろしてくれた。
これで御嶽山から完全に下山することに成功。
しかし車の回収、宿への移動、帰宅方法・・・まだ問題は山積みなのだ。

でも、、、さすがに疲れたな・・・ちょっと休ませてもらおう( ´Д`)
緊張の糸が切れ次々と眠りこけるメンバー。
文明の利器に揺られながら、つかの間の休息を迎えたのだった。

後編へ続く。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です