百名山

百名山3座目:雲取山~富士よりも遠い場所~(09.09.13)

富士山のリベンジも済み暫く山からは遠ざかろうと思っていた。
2回目の富士山も若干の高山病に悩まされていたので、初めての山装備としてアウトドアウォッチを購入。
標高に対応したペースコントロールができれば多少高山病を改善できるかと思ったのだ。

同期にその話をしたら
『ヲ、なら週末雲取山登るんだけどクル?東京の最高峰ダヨ。』
彼は今年度に入ってから一人で奥多摩や秩父の山にアタックする山男になりつつあった。
このエリア経験者の心強い誘いと、新装備を試したい俺の心が共鳴。
富士山降りてからわずか一週間後、再び俺たちは山へ向かうのだった。



奥多摩湖畔・留浦駐車場より登山スタート。
まずは駐車場の近くの湖面に掛けられているドラム缶橋『留浦浮橋』を見学。
この水の源流となる山の頂点を目指すのだ。

ニューアイテムのアウトドアウォッチを構える。
標高30mだった自宅からみるみる上がり登山口では555mに。
しっかり機能しているのが嬉しい反面、
『ここから1500も登るのかよ・・・標高差富士山クラスじゃねぇか・・・つれぇ』
標高を知ることは諸刃の剣だと知る←

暫くロードを歩いた後、鴨沢登山口の入り口へ。

端正な杉林の中に帯びる登山道。
歩くたびに木漏れ日が表情を変え飽きが来ない。
自然と足は進みスルスルと標高は上がっていった。

樹林帯を抜けてふと横を見ると富士山が!
というか先週あそこにいたんだよな・・・
一度踏破した山を他から見るとなんともいえない幸福感が押し寄せてくる。

七ツ石小屋に到着。樹林帯の美しさと勾配のゆるさ、
そして一定標高を越えるたび適度に休憩を挟みつつして
あまり疲労せず1000mを登れていた。早速こいつの効果を実感できて嬉しくなる。



七ツ石小屋から稜線へ合流。青空と緑の広い尾根に伸びる登山道。
吹き抜ける秋風の涼しさ、そして樹林帯からの解放感で思わず走り出したくなる!

登山道脇にはマルバダケブキという植物が沢山。
この写真ではほとんど枯れているけど他の場所では
あちこちに黄色い花を咲かせ慎ましく登山道を彩っていた。
青空・草原・黄花と原色の彩る空間に無性に夏を感じたのを今でも覚えている。

尾根の先にあるのは飛竜山。
同期はすでにソロ踏破しているらしい。

振り返ると歩いてきた尾根と奥多摩の山々を一度に見渡せる。
雲取山一番の絶景ポイントだ。

雲取山避難小屋への最後の登り。このあたりから若干の頭痛を感じ始める。
2000mが自分の限界ってことが分かったぞ。
ここからはスローペースで登ることを心掛ける。

上がった息を避難小屋で整える。
『山頂近くても焦らないのが大事やで』と背中で語るプロ同期。

登山口から五時間半。ここが・・・東京の頂点!
その名の通り雲が掴めそうなくらい近くに感じる。
おかげで景色は見えづらかったけど十分な達成感が体を満たした。



歴史を感じるボロボロの山頂標柱。
今でこそ立派な山頂標石があるがこの頃は東京都に予算無かったのかな?

さぁて、お楽しみの時間だ!

安定のトリプルコンビニギリ。
やはり山で野郎同士で語りながら食う飯は何物にも代えがたい。
富士山ではこんな余裕はなかったし猶更嬉しかった。

折角なので雲取山荘に立ち寄ることにする。
道中の謎のレリーフに興味深々の同期。

山頂を下ること10分程度で立派な山小屋に到着。
山にもこんなまともな宿泊施設があるんだと感心した覚えがある。
いつか泊まるような時が来るんだろうか・・・
ぼんやりと未来を描きながら消費した水を補給し、
来た道を戻り山頂から後山林道への分岐へ入る。

同期『ソウイヤ今日鹿イナイナー。最近ヨクアウンダヨ~』
俺『まじか。野生の鹿とか会ってみたいわ』
なんて雑談してたら

鹿『呼んだ?』
と言わんばかりに正面の登山道から現れる鹿さん達。

警戒する様子も見せずうろうろしている。
野生動物は登山者の会話の空気まで読める鋭い感をお持ちのようだ。



更に降りると沢と出会う。
長距離歩いてきた疲れを癒すべく靴下を脱いでダイブ!
冷たくて火照った足が一気に足が引き締まってまだまだ歩けそうだ。
この水が奥多摩湖に流れ込み小河内ダムから浄水場に送られ家庭に送られるんだな。。。
東京都民のみなさん汚い足で飛び込んですみません←

沢のすぐ近くには三条の湯。こんな山奥に温泉があることに驚く。
足湯とかあったら登山者に人気出そうだけど作ってくれないですかね。

後山林道に合流。ひたすら砂利道のロングロード。
カーブを曲がるだび同じ景色が続く。

1時間以上歩いても同じ景色のまま。
登りが楽しかった分精神的にきつく足が一気に終わり
山頂で抜いてきたグループに追い越され悔しい思いをする。。。

パジェロの忘れ形見。この林道は一体いつまで続くんだ・・・
沢ダイブで回復させたいけどかなり谷底になっていてもう降りられない。
死んだ魚の目で目の前の道を進み続けた。

終わった・・・(泣)
距離8キロ、2時間を超える単調地獄な林道からやっと解放された。
もう太陽も落ちようとしていた。

同じ標高まで降りてきた。あと駐車場まで3キロなんだが地味に長い。
コンクリートは反発が強く登山道より足へのダメージが大きい。
最後はほとんど引きずるような感じで歩いていた。

帰ってきたあああああ!
時刻は7時。実に12時間も山中にいたことになる。
過去最長の登山時間だった。

日本の頂点より東京の頂点のほうが遠いなんて誰が想像しただろう。
今見返してみても30キロは日帰りだったらかなり健脚者向けの距離。
若さゆえの無茶をまた繰り返してしまった・・・(遠い目)
同期の山チョイスに疑問を感じ始める←

というか富士山の前哨戦には妙義より雲取のほうが山容的にも向いてるよなぁ。
まあでも妙義登ってなかったらの悪天候の中山頂に立つ折れない心は
身につかなかったかもしれないし結果オーライ?
新たにスタミナとペースコントロールを身につけた俺たち。
同時に写真の腕も磨くべく、小河内ダムでの夜の撮影会に興じたのだった。

ルートレビュー

難易度:D
雲取山頂から三条の湯方面の登山道は多少荒れている所もありますが
ほとんどの個所で整備は行き届いており迷うことなく進めるでしょう。

体力度:B
標高2017m 標高差1487m 平均斜度7.2°
登り5:30(11.9km) 下り6:40(18.6km)
全行程30キロの日帰りとしてはかなり長大なコース。
斜度はそうでもないのですが登りはひたすら樹林帯、
下りは延々と林道歩きが続くため体力よりも精神力のほうが試されます。

展望:D
景色は主稜線上のみ。秩父・奥多摩の山々・富士山の眺望。
傍らにはマルバダケブキの花が揺れ爽やかな夏を感じられる稜線です。

総評:C
日帰りであれば富士山の前哨戦として。
宿泊であればデビュー戦としても向いている山です。
東京の頂点で雲を掴んでみましょう!

締めの一言
新たな装備は山への活力。



今回使用したアウトドアウォッチ【スント・コア】の現行モデル。
高度・気圧・気温・コンパス・日の出/日の入り時刻など
登山に必要最低限の機能が揃っており初心者は
まずこれを選べば間違いありません。
・決まった標高分登ったら休憩。
・標高を参照しながらペースを落とす。
・『山頂までのあと○○m!』と仲間へ声掛けする
モチベーション・ペース・休憩タイミングをコントロールでき
山での精神安定剤のような役割を果たしてくれるアイテムです。
ちなみに気温計は体温を拾ってしまいほとんど役に立ちませんのであしからず(笑)

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