百名山

百名山9座目:石鎚山~初めてのトモダチ~(13.11.08)

四国一周ドライブも終盤に差し掛かろうというところ。
ほぼ旅の計画はこなしつつありいつ帰ってもいいような状態だった。
もう一座残った百名山の石鎚山が気になってはいたが
剣山を登った満足感に満たされておりまた今度でもいいかなーと迷っていた。
同期が愛媛出身だったことを思い出したので
地元の山だしいろいろ聞いてみることにした。

俺『いやー剣山良かったわ。もう一つ石鎚って山あるらしいんだが知ってる?』
同期『石鎚?イイヤマダシカンタンダシセッカクチカクニイルナラノボッチマエー』

地元民がそう言うなら行くしかねぇな←
丁度翌日は四国カルストで夜明けを見ようと計画していた。
石鎚山の登山道を調べるとすぐ近くにあることが発覚。
アクセス道路もドライブウェイを銘打っており走るには申し分ない。
おまけに天気も良いと来たもんだ。
全ての状況が登れ!と俺の背中を押してくれていた。



迎えた四国カルストの夜明け。
雲交じりの幻想的な空間を陽光が切り裂いてゆく。
よし、今日は晴れるな。
これから出会える更なる絶景に期待を膨らませながら
石鎚山ドライブウェイを疾走した。

石鎚スカイライン終点の土小屋に到着。
路肩の駐車場に車をピットイン。
四国一周ここまでよく走ってくれたな、ありがとう相棒!

登山道入り口の大きな看板。
雲一つない青空で遮るものはない。
さぁ、行ってくるぜ!

歩きだして早々視界が開ける。何やらかっこいい山が見えている。
『すご!なんだあれ?』(※三百名山の瓶ヶ森です。この頃は知るはずもない)
開幕からテンションぶちあがる俺。

そして正面に突然岩塊が現れる。
あれが山頂?!うおおおおくそかっけぇえええ( ゚∀゜)
と、一人なので真顔で狂喜乱舞する←

これから歩いてあそこまで行くんだなぁ・・・
目標見ながら歩けるって滅茶苦茶楽しい。自然と足早になる。

尾根は歩きやすい階段になっている。
勾配もゆるやかで想いのままに進んでいけるぞ!

空に広がる枝の脈。
全てが俺を受け入れてくれている!



階段を登り続けていると鳥居が現れる。
広めのスペースがあり小休止してから先に進むと・・・

石鎚山最大の難所『二ノ鎖』が立ちはだかる。
垂直の壁にぶら下がった20m程度の鎖を登りきらねばならない。
先行者も『怖えぇえええ!!(゚Д゚;)』とか
『もうマヂ無理(;´Д`)』とか口走っている。

しかしクライマーズハイに突入している俺は怯まない。
サルのようにヒョイヒョイ登り先行者3人を一瞬で追い抜く。
こんなん妙義山の鎖場に比べれば屁でもないわ!( ゚Д゚)

続いて最後の難所『三ノ鎖』を連続攻略。長さも斜度も大体同じくらい。
振り返ってみると二ノ鎖の高さも足されて結構な高度感になりちょっとだけビビる。
あとこの鎖サイズが大腿骨くらいあるかな?
結構太くて重いので掴みづらくこれが恐怖心を煽る一因になっているかも。

難所を攻略するとそこには絶景が広がっていた。
連なる美しい山脈に鳥肌が立つ。

少し左を見ると祠と表札が。ここが弥山!
『やったーー山頂つい・・・

・・・てないな?!あっちのが高いな!人いるな!行けんやな!GO!!』
クライマーズハイの俺は止まらない。本能のままに最高峰の天狗岳を目指す。
ナイフリッジになっている尾根だけどしっかりとした足場もありサクサク進める。
必要なのは恐怖に負けない心のみ!

ものの数分で到着!小さな祠と天狗岳の標識。
斜めになっている岩盤ピークのためあんまり落ち着けないけれど達成感は最高だ!!



まずは安定のコンビニギリで登頂祝い!
ちゃんと地方限定の具材を選ぶ。異国情緒を五感で楽しむのが旅ってもんよ!

しかしマジで景色が良い・・・
東方面は瓶ヶ森と青空。

南方面は南尖峰へと続く鋭い尾根。

北方面は歩いてきた尾根と瀬戸内海の眺望。

西方面は弥山へのナイフリッジと連なる四国の山脈。
四方四様でタイプの違う絶景が楽しめるなんて最高すぎるぞ・・・



ここで山頂に迫る一人の登山者が。
あまりにも気分が良くて自然と声をかける。
これが運命の始まりだった。

俺『こんにちわー!!景色最高っすね!!』
?『こんにちは!いいね石鎚山!最高だよ!』
ここから景色の素晴らしさ、ルートの面白さ、
山座同定でハイテンションな会話が始まる。
暫く会話していると訛りがないことに気付く。
俺『もしかして関東の方ですか?』
?『そう、東京から来ているんだ。今大阪に単身赴任していて
今週だけ高松で仕事があってたまたま仕事早く終わったんで登りにきたんだ』
俺『まじっすか!!俺も埼玉から来てるんすよ!( ゚Д゚)』

こんな離れた地で関東人同士が出会えるなんて・・・
しかも元々登る予定が無かったところまで共通していた。
ここから会話に火が付き
・百名山を50座以上踏破していること。
・年齢別のサッカーで日本一を目指していること。
・マラソンやトライアスロンにも挑戦していること
などなど熱い話がどんどん飛び出てくる。

俺もその熱さに呼応して
・夜明けドライブ全都道府県制覇を目指していること
・百名山完全踏破をこれから頑張ること
・夢を追う人脈づくりをこれから頑張りたい
というお互いの夢と努力を狭い山頂で一時間も語りつくしてしまった。

一通り話し込んだのでお互いに記念撮影写真を撮ってもらう。
これが初めて山頂でまともに撮った写真なんだが
うーん・・表情硬ぇなw そして目が空いてないw
テンションMAXなんだけどもうちょい喜びを表現できるようにならんとな(-“-)

会話が尽きないので一緒に食事しようとしたけれど既に山飯が食べ終わっていた俺。
登ってきたルートがお互いに違うため一緒に降りることもできない。
名残惜しいがここでお別れだ。
しかしこの出会いは強烈な縁を感じたのでお互い連絡先を交換することにした。

相手のお名前は谷口さん。
俺『東京戻ってきた暁には・・・一緒に山行きましょう!!』
谷口『いつになるか分からないけど・・・必ず連絡する。漢の約束だ!』
と、硬い握手を交わす。
山でこんなに熱く会話できたのも初めてだし連絡先交換したのも初。
これが・・・トモダチ?(涙)←
新たに芽生えた感情に胸を躍らせながらナイフリッジを引き返した。



弥山へ登る岩塊・・・こんな場所あったっけ?
クライマーズハイでなにも覚えていない←

弥山山頂の祠。
こんなあったのね。まったく見ずに通り過ぎていた・・・

もう一度ナイフリッジを振り返る。
今日の景色と出会いは胸に刻まれた。
また、必ずここに立とう。

眼下には歩いてきた尾根が見える。
鎖場は迂回路のウッドデッキを使って一気にクリア。
あとは上がったテンションに任せ駆け抜けるように下山した。

コースタイムを30分巻いて1時間で下山。
いやぁ・・・景色も出会いも最高すぎて全てが一瞬に感じた。

百名山暖簾の時は人生終わるまでに完登できればいいかな~という気持ちだったけど
今日の出会いで可能な限り早く終わらせるという気持ちに切り替わった。
『谷口さんと再会する時までに肩を並べられるような存在になるんだ・・・!』
俺の人生が変わった瞬間だった。

締めは日本最古の温泉である道後温泉へ!
一週間のドライブを振り返りながら湯につかる至福の時・・・
丁度この頃下山した谷口さんからメール。その文面が更に俺の胸を熱くさせる。

その後はしまなみ海道を疾走し岡山のダムにも寄り道しつつ
総走行距離2611㎞の四国一周ドライブに終止符を打った。

ルートレビュー

難易度:C
山頂直下に垂直な鎖場が2か所ありますが
距離が短いため難易度は高くありません。
迂回路もあるので誰でも簡単に登れます。
弥山~天狗岳までのナイフリッジは短いですが両端が崖かつ
足場も細いため度胸と安定した歩行技術を求められます。
強風や悪天候時は無理な登頂は控えましょう。

体力度:E
標高1982m 標高差487m 平均斜度6.5°
登り2:15(4.3km) 下り1:50(4.5km)
標高差とコースタイムは初心者レベル。
気持ちの良い尾根歩きを楽しめます。

展望:A
最初から尾根道で樹林帯もないためいきなり景色が開けています。
瓶ヶ森や石鎚のピークを眺めながら歩ける登山道で
山頂は360°の展望。天狗岳は高度感もあり四国山地西部の全景と
瀬戸内海まで見渡せる絶景が広がります。

総評:B
樹林・尾根道・階段・鎖場・ナイフリッジ・木道と
山歩き全ての要素がコンパクトにまとまっています。
景色も相まってとにかく夢中になれ気が付いたら山頂に辿り着いているはず。
本能のままに楽しく登れる山です。

締めの一言
谷口さんからのメールに添えられていた名言。
『人生は 幾つもの出会いと スタートラインで出来ている』



登山中に着ていた化繊ダウンジャケット。
普段着として使っていましたがあまりの使いやすさから山装備に昇格。

エクセロフトという化繊中綿を使用しているためフェザーダウンと違って
汗などで濡れてもすぐに乾き気軽に洗える高メンテナンス性を維持。
かつ防風性と保温力も高くこれ一枚あれば平地の冬や秋の山は十分です。
リバーシブルで2色仕様なため様々なウェアとも合わせやすい所もポイント。

これだけの性能を備えておきながら1万円以下という価格破壊っぷりに頭が下がります。
化繊ダウンってどんなもんだろ?というお試しには丁度いい一枚です。

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