島山百選

百名山53座目:宮之浦岳(屋久島)~洋上のアルプス~(15.04.30 Day.2)

Day.1の島めぐり編はこちら

新高塚小屋で爆睡し完全復活٩( ‘ω’ )و
本日の工程は宮之浦岳に登頂してから下山までを
1日でやることになるため行動時間が長い。
ならば早朝に出発しどこかで夜明けを拝もうと考えていた。

山頂へのルート上には展望台が三ヶ所あるのだが
それぞれがどの方角にどの程度開けているか不明・・・
なので一番奥にある平石展望台と夜明けの時刻が重なるように
小屋を出発することを決めた。




4:20発。外はまだ真っ暗で登山者達は静まり返っている。
山頂まではあとわずか3.5キロ。
闇の樹林をヘッドライトで切り裂き歩き始める。

4:45に第1展望台に到着。
暗くて景色ないのは読んでたよ、次!w

5:00に第2展望台到着。
空は明るみかけるもロケーションはいまいち・・・
やはり最初の狙い通り平石展望所まで行くことを決める。

第2展望台から先は樹林を抜け空が見え始めるが雲に覆われ遠雷がスパーク。
おいおい、頼むから近づいてくるなよ・・・(((°Д°)))

進行方向を見ると隣の尾根に物凄い雰囲気を放つ山並みが!( ゚Д゚)
地図によると永田岳・ネマチ・小障子という名前の様子。
これが屋久島の真の姿か・・・!
山頂が俄然楽しみになってきたぜ。



平石展望所に達する前に夜明け時刻の5:40となる・・・
ここでも太陽見えそうだけどやっぱり雲が厚いなぁ(‘A`)

お、よく見ると海は見えてるわ。
雲・海・山が織りなす縞模様が島全周を取り囲んでいる。

ハイパーズームして雲の切れ間を照らす陽光を捉える。
一応これで太陽の輝きは撮れたんで夜明けは成功としよう(。-`ω-)b
この天気が傾くか戻るか・・・運に任せて先を急ごう!



5:50に目的の平石展望所に到着。
永田岳が近づいてきて絶景の予感。
岩の上に這い上がると・・・

突然花崗岩の露出したグラスフィールドに!(゜o゜)
その向こうにそびえる高峰。あれが、宮之浦岳・・・!

原生林と花崗岩の混じり合う異質な山肌。
なんなんだこの山は・・・( ゚д゚)

左に伸びる稜線には太吉ヶ峰と翁岳。
ここだけ切り取ると北アルプスの一角にも見えるという・・・
もう世界観がごちゃ混ぜすぎて呆気にとられる(゜o゜)

テンションにまかせてジャンプ写真も撮影。
遠近感がバグって尾根に座る巨人みたいになった←
展望台はしっかり楽しんだので
先へと伸びる最高の登山道を歩くぞ!(´∀`)ノ



グラスフィールドの中に人面岩発見( ̄_ ̄)
この付近は自由に歩きまわりながら奇岩を探していくのも面白い。

山頂が近づいてきたあたりで
雲の切れ間から青空と陽光が・・・これはっ?(゜o゜)

きたあああああぁぁぁぁ!!(゚∀゚)
待ちわびたぞこの瞬間を・・・
天候の読みづらい宮之浦岳で俺は運を引き寄せたんだ!!(´;ω;`)

そして隣の永田岳の迫力よ!!
太陽光を跳ね返し翠で覆われた山体は輝きを増してゆく。

山頂まであと500m、この絶景のまま取る!



7:45に百名山最南端・九州最高峰・宮之浦岳に登頂!
0m→1936mのSea to summit達成!!
いろんな意味でさ。ここまで来るのは長かったよ(´;ω;`)

青空の元に広がる緑の山脈。
マジで景色最高すぎる・・・
ここにたどり着くまで散々浴びた雨には、すべて意味があったんだ。

山頂の儀式は九州つながりで長崎ちゃんぽん。
野菜たっぷり食えるしとっても山飯向きよね(´¬`)

のんびりと麺をすすっていると
突然空の様子が崩れ雷鳴が聞こえ始める。
おいおいまじか・・・この状況で山頂滞在はまずい!(((°Д°)))
もっとのんびりしたかったけど後ろ髪引かれる思いで山頂を後にした。



だが俺はまだ下山しないぜ~
次の目的地は・・・隣の永田岳!
標高1886m・宮之浦岳に次ぐ九州第二位の高峰。
あんな素晴らしい山容を見せつけられて登らないわけにはいかないよな!
頼むから天候持ってくれよ!(-人-)

近づくほど花崗岩の露出が激しくなる永田岳。
隆起した岩が多雨で浸食されこの地形が形成されているのだ。
あー、無性に豆入り蒸しパン食いたくなってきたな←

1時間程度で永田岳の山頂直下に。
振り返ると宮之浦岳が頭をもたげる。
あとちょっとで山頂のはずなんだけどピークへの入り口が
分かりにくく右往左往してタイムロス・・・



その結果、山頂に付いたとたん突然の豪雨に襲われて視界ゼロ。
さっきまで快晴だったのにどういうことだってばよ( ´Д`)
『そう簡単に両峰でいい想いさせないよ?』
という屋久島の意地悪な声が聞こえた気がした。
まぁ、今回は諦めてさっさと降りよう。

で、降りた途端晴れるというね←
ここまで露骨だとむしろ清々しいw
屋久島はこの目まぐるしさを楽しむ広い心が必要ってことだな(;^ω^)

目的は果たしたのであとは下山するだけなのだが戻るのは荒川登山口ではない。
永田岳の西に見える浜辺。あれが今日のゴールだ。

単身で渡る計画を練っていた際にふと気づいちゃたんすよ。
『車無いなら縦走できんじゃん!(゚∀゚)』ってさ。
なので思い切って
東海岸→荒川登山口→新高塚小屋→宮之浦岳→永田岳→永田歩道→永田浜
という屋久島を東西縦断するという壮大なルートを計画。
下山後は島外周を走っているバスを使い宮之浦港の宿に戻るという完璧な作戦。
これならWRXを置いてきた意味があるってもんよ!

さぁ、ここから約13キロ先にある永田浜まで
1886m→0mへのSummit to Seaが始まる。
持ってくれよ・・・俺の脚(‘A`)



永田歩道は下り方面も景色抜群!
フジテレビ球体展望台のような岩がハマっている障子岳。
登山道は無いようだが実にそそられる山容だ。

そして永田岳に隣接する大迫力のローソク岩!(゜o゜)
垂直な壁を見上げているとクライマーの血が騒ぐぜ(やったことないけど←)
奇跡の連続だった絶景はここでフィナーレ。
登山道は再び樹林の中へと戻ってゆく。

12時頃すぐ下にある鹿之沢小屋に到着して山中最後の昼飯休憩。
あとはのんびり下るだけか。どれくらいかかるのかな?
と、地図を眺めていたのだが・・・

えーと、鹿之沢小屋が右下でゴールの永田浜が左上ね。
コースタイム積算すると・・1、2、3、、、え?8時間半!?(  Д ) ゚ ゚
完全に日没するじゃねぇかよ!!
てかバスの最終便19時だからそれまでに間に合わせないとヤバい!!
山中で遊びすぎ完全にタイムマネジメントをミスっていた。

そして同時に別の問題も浮上。
昼飯で食料がほとんど底を尽きてしまったのだ。
残るは非常食のパウンドケーキ1袋のみ。
これで8時間半を歩き切れと?(((°Д°)))
まぁ8分割されてるし1時間に一切れ食って持たせるしかないか・・・
食料に縛りを抱えたまま永田歩道タイムトライアルが始まったのだ。



ロクに写真も撮らず山中を可能な限りスピードを上げてダッシュ。
パウンドケーキで補給しつつ景色のない樹林を走り続けて3時間。
15:15にようやく中間地点らしき看板を発見。
あと6.5キロとかまじかよぉ
長い・・・絶望的に長い・・・(‘A`)

再び3時間後・・・標高103mまで下り切り
永田歩道入口の林道に18:00に合流。
ここでパウンドケーキ最後のひと切れを口に押し込む。
よし、、いけるぞ!(;´Д`)

18:30。
潮の香りとともに、
あんなに遠くにあった、
白い砂浜が目の前に現れた。



永田バス停到着!\(´;ω;`)/
やりきった・・・いまならメロスの気持ちが分かる←
なんとか最終便まで30分余裕作ったぜぇ
と思って時刻表を見たら・・・17:01!?
いやいやいや、、、事前に調べた情報では午後7・・・( ゚д゚)ハッ!
17時を午後7時と勘違いしてた系?←
ヤッチマッタ<(^o^)>

この後は宮之浦港付近の宿に戻らねばならないのだがそこまでは約20㎞・・・
歩いて行ったら日付変わっちゃいますね?(‘A`)
なにより満身創痍の体と尽きた食糧でそこまで歩き切る自信は無かった。
自分の計画はいつも最後の詰めが甘い・・・
諦めて高額出費を覚悟し、タクシーを呼ぶことにした。

タクシー会社に事情を話し拾いに来てもらうことに。
運賃浮かせるためなるべく宮之浦方面まで歩き途中で拾ってもらうことにした。
30分程度でタクシー着。運転手さんに感謝を伝え
今日の出来事をマシンガントークで語り尽くす。
そこから更に島の魅力やら百名山の話やらお互いの身の上話まで
トークが広がり滅茶苦茶盛り上がってしまった。
そのお陰かはわからないけど『料金4000円でいいからね~♪』
と途中でメーターを止めてくれた。マジ島民いい人(´;ω;`)

俺『そういえば自分屋久島の名物なにも食べてなくて・・おすすめあります?』
運『屋久島といえば、、、首折れサバだねぇ』
俺『なにそれうまそう!(´¬`)どこで食えます?』
運『定食屋ならどこでもあるよ!』
俺『あー、てか自分明日朝の船に乗っちゃうんでどのみち食えないすね(´;ω;`)』
運『あー、それは残念。』
俺『あ、目的地あの民宿です!楽しい時間ありがとうございました!』

と、別れ際にこんなやりとりをした後
なぜか名前と電話番号を聞かれガッチリ握手をしてお別れした。
あのときの嬉しさは7年経った今でもしっかり記憶に残っている(*´ω`*)

20:00頃無事民宿にピットイン。
予定時刻より大分遅くなったお詫びいれると間髪言わず夜飯が出てくる。
いきなりインパクトのあるトビウオのから揚げがテーブルにダイビング。
そして・・・

隣に置かれた謎の刺身。
宿『こちらが首折れサバになりまーす』
・・・これかああぁあああああ!!(゚∀゚)
タクシー内会話の見事なフラグ回収。

首折れサバとは屋久島の地魚であるゴマサバの首を折り
一瞬で血抜きした後、氷水で鮮度を保った状態のものを言う。
冷蔵庫が無い時代に編み出された保存方法なのだそうだ。

通常サバは鮮度が落ちやすくしめ鯖にされることが多いが
首折れサバはこの保存方法により刺身として食せる鮮度を保つ。
プリプリと引き締まった身の歯ごたえと繊細な味わいは
鯛などの高級魚にも引けを取らない。
鮮度の問題で島外には出すことはできず
屋久島民のソウルフードとなっているようだ。
食えないと諦めていたのに最後に出てきてだいぶ感動した(´;ω;`)

こうしてすべてが完璧に終わった屋久島大冒険。
雨虹晴霧雨曇雷晴雨晴曇霧…と、空模様が目まぐるしく変わり
装備と体へのダメージは大きかった。
でも全然嫌じゃなくて、それでこそ屋久島らしくて、
大自然を五感で感じれる素晴らしい体験ができた。
脳裏に浮かぶ絶景にまどろみながら、
1週間ぶりのベッドで泥のように眠りについたのだった_(´ω`」 ∠)_



ルートレビュー

難易度:C
登山道は整備が行き届き危険個所は全くありませんが
多雨地帯のため降る前提で装備を考える必要あり。
雨具は着っぱなしになるのでベンチレーション付きで
防水性能の高いハードシェルなどをお勧めします。
靴下やシャツなどの下着類も予備があると安心。

体力度:A
標高1936m 標高差1340m 平均斜度5.3°
登り9:30(14.5km) 下り11:05(14.5km)
距離とコースタイムから本来2泊3日が最適なルート。
景色も無くとにかく長い永田歩道は良い精神鍛錬。

展望:B
景色が開けるのは平石展望所~鹿之沢小屋手前までの区間で
それ以外は樹林・・・なのでですが縄文杉をはじめとする
巨大な屋久杉の立ち並ぶ登山道はそれだけでも見る価値があります。

総評:S
標高によって変化する植生。
目まぐるしく変わる天候。
屋久島とは何か、大自然とは何かを常に語りかけてきます。
一度歩けば一生記憶に残る体験ができるでしょう。

締めの一言
ありのままの自然を、楽しめ!

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