百名山

百名山10座目:甲武信ヶ岳~追憶の約束~(13.11.16)

四国から帰宅して1週間。
石鎚で闘魂注入された俺はもう登山のことしか考えられなくなっていた。
今年は山が雪で閉ざされるまでの間とにかく未踏の百名山に登りまくろうと決意。

そんなわけで次のターゲットは甲武信ヶ岳。
甲州(山梨)、信州(長野)、武州(埼玉)三県の境にあることが由来で
その名の響きに妙に惹かれたからだ。命名した人のセンスを称えたい。

ここは同期も踏破済みで日帰りしようとしたら時間かかりすぎて日没。
携帯のライトで道を照らしてなんとか下山できたという
やらかしエピソードを聞いていた。

埼玉側からのルートを調べると確かにコースタイムと標高差は大きく
日帰りは結構しんどそう。が、決して不可能なタイムではない。
いつか登るのなら一番気持ちが熱くなっている時に行くべきだよな!
不安を行動でかき消すため登山口に向け車を走らせた。



登山口である道の駅みとみで朝を迎える。
太陽に照らされた山の方を見ると稜線にはうっすらと白いものが。
『うっそ雪!?・・・マジかよ、まだ11月だぞ?』
まぁ赤城山のようにただの霧氷という可能性もある。
ダメだったら引き返せばいい。行けるとこまで行ってみよう!
手早く準備を終えて5時半に出発。

静かなる西沢峡谷を歩く。
紅葉の時期は人でごった返すそうだが一人の先行者が居るのみだ。

平坦路が終わりここから登山道へ。
甲武信ヶ岳への登りは尾根筋の徳ちゃん新道と沢筋の近丸新道の2つあるが
このときは近丸新道が荒れているとの看板表記があったため前者を選択。

凄まじく綺麗な林。
太陽と影のコントラストが良い味を出してる。

この樹林の気持ちよさは格別。
つい上を見ながら歩いてしまうな・・・
魚眼での撮り甲斐もあるってもんだ。

標高1500mを超えたあたりから登山道に雪が乗り始める。
山頂まであと1000mあるのにこれか・・・ちょっと今回は樹氷だけでは済まなそう(焦)

背後に光を感じたので振り返ると青空と富士山!
5合目まで雪化粧をしている一番‶らしい”姿だ。

その少し下には広瀬湖&広瀬ダム。
遠望で見ると水を蓄えている姿がよくわかるな~



降り積もる雪の間から覗く太陽。
頑張って少しでも雪溶かしてくれよ~

そして今回はニューアイテムのデビュー戦。
石鎚にて山ガチ勢になると決意してついに登山用ザックを購入。
初めて登山した2008年から5年の時を経て
三種の神器と言われる雨具・登山靴・ザックが揃う。
ようやく俺はスタートラインに立ったのだ←

2つの新道の合流地点で相方を記念撮影。
標高1869m。雪は3cm程度。お前とならまだまだ進めるさ!

さらに登ると富士山と広瀬湖を一望する絶景ポイントが!

雲を従える富士の峰。
やっぱりいつ見ても絵になるしかっこいいよな・・・

戸渡尾根をさらに登ると雪も靴が埋まる程度の深さに。
なんだか雪と森に吸い込まれそうな恐怖を感じる。
そろそろやばいかな・・でも平坦だし足跡もあるしもう少し進んでみよう。

突然こじんまりとした広場に出る。
甲武信ヶ岳ひとつ手前、木賊山の山頂だった。周囲は樹林に囲まれ景色は無い。
この雪量であれば標高同じくらいの甲武信にも踏破の目途が立ち少し安心する。



木賊山からの下りで一気に視界が開け目の前にひとつのピークが現れる。
『あれが・・・憧れの甲武信ヶ岳!』
三角錐状の立派な山容。ここから見る姿が一番カッコよかった。

だが足元を見て感動は絶望に変わる。
『雪めっちゃ深くなってる!?!?』
ここだけ樹林帯が無い分雪量が増えているのだ。
一歩踏み出すと脛まで埋まる深さ。
斜度も結構あり滑り落ちていきそうな怖さがある。
畜生!スノーボードを持ってくるべきだった!

でも足跡はあるし行ってる人はいるんだよな・・・
なんとかして行けないだろうか?暫く滑らない踏み方を試行錯誤する。
そして踵から蹴りこむように踏むと平面ができて安定することに気付く。
この繰り返しで深い雪の斜面でも安定して下っていけた。

Icchyouは【ツボ足】を覚えた!\(‘ω’)/テッテレー

難所をクリアすると甲武信小屋が出迎えてくれる。
休憩する登山者も多く小屋もしっかり営業中。とても癒される空間だった。
さぁもう山頂は目の前だ。最後の急登を一気にクライム!


ここが・・甲武信ヶ岳の山頂。
どこまでも伸びゆく奥秩父の稜線。その先には多くの名峰が控えめに聳えている。
殆ど景色の無いストレスと雪の恐怖と戦い続けた全ての苦労が報われる、
最高の景色がそこにあった。

見えてる山は全然わからないのだけれどいずれは踏破する山々。
その形を心に刻むべく、いつまでも眺めていた。

寒いしお腹すいたな・・・
我に返りいつものルーティーン・コンビニギリをキめる。

そして新たなルーティーン・山頂標柱と記念撮影。
これからはしっかり登頂記録も残していこう。
まだ顔面は恥ずかしいお年頃です←

山頂標柱からもう一度全景を見渡して深呼吸。
ありがとう!最高だったぞ甲武信ヶ岳!また逢う日まで!



木賊山斜面の復路の状態。
太陽のパワーと多くの登山者で雪は殆ど踏み慣らされ
ほぼ不安のない登山道になっていた。

一方木に吹き付けられた雪は凍結したままだ。
天気荒れると相当厳しい環境になるんだろうな。晴れてよかった。
あとは木賊山から我武者羅に尾根を駆け降りた。

麓は秋山。
季節を行ったり来たりする不思議な時間を過ごせた。
いやー登山って本当に楽しいな。

日没前の17時ジャストに道の駅へ帰還。
朝と違い稜線の雪は殆ど見えない。きっと降雪直後だったんだろうな。
なかなか貴重な体験をさせてもらったぞ!

最後は登山道から見えた広瀬ダムに立ち寄りダムカードフィニッシュ。
ここは初めて来たつもりだったのだがなんだか景色に見覚えが・・・
確か・・・過去に同期とドライブで立ち寄り
この看板を見ながら『あの山、いつか一緒に登ろうぜ!』
と、漢の約束を交わしたことを思い出して鳥肌が立った。

『そうか・・・あれが・・・甲武信だったのか・・!』
タイミングは別々となってしまったがお互い山頂を取り
間接的に約束を果たすことができたと知って感慨深くなる。

ここからの写真と踏破と感謝のメールを同期に送り、そっと携帯を閉じる。
追憶の約束にひとつ終止符を打てたことに胸を熱くさせながら
俺は次の山へと歩き出した。

ルートレビュー

難易度:D
整備されてはいるものの急登がずっと続きます。
11月は積雪の可能性があるため
軽アイゼンやストックなど滑り止めは準備しましょう。

体力度:B
標高2475m 標高差1380m 平均斜度10.7°
登り5:34(7.4km) 下り4:03(7.3km)
標高差もコースも長く山頂以外での景色も
ほぼ無いため精神的にきつい山です。
日帰りだと健脚者向けとなるため
初心者は甲武信小屋での宿泊がおすすめです。

展望:D
今回のコースの主な眺望は以下3か所。
それ以外はほぼ樹林帯に囲まれています。
・木賊山手前で富士山と広瀬湖
・木賊山先からの甲武信ヶ岳ピーク
・甲武信山頂の絶景
山頂からは百名山が43座見えると言われる抜群の眺望で
周辺には富士山を筆頭に雁坂嶺から国司ヶ岳へ至る奥秩父の主稜線。
遠望には八ヶ岳や3つのアルプス、
頸城山塊・浅間・日光・尾瀬の山々まで見渡せ、
長いこと山座同定を楽しめる頂になっています。

総評:C
三県の境だけでなく関東の百名山の中心地。
長い樹林帯で苦しんだ後、数々の名峰が
取り囲むように並び立つ姿を見れば感動もひとしお。
絶景と共に奥秩父の山深さを知れる頂です。

締めの一言
秋山は冬山と心得よ。


初めてのザック・オスプレー ストラトス36の現行モデル。
本体重量は1.5kgとサイズの割に重めですが外周の四角いワイヤーフレームが
重量を全身に分散してくれるため体感的には軽く感じます。

背面はメッシュパネルとなっておりザック本体と背中が
接触しない構造のため汗の乾くスピードが速く暑い季節には最適。

左ショルダーハーネス側にトレッキングポールを収納できる
ループもついており鎖場や岩場を登る時に一時収納が可能。
さらに収納ポケットも多く
・左右ウエストベルト部のポケット
・トップポケット
・左右サイドポケット
これら5か所は背負ったまま全ての場所に手が届きます。
ポールループと合わせてザックを降ろさずにできることが多いため
スピードハイクにも向いています。

背面には縦ジッパーで開く大き目のサブポケットもあり
すぐ取り出したい防寒着やレインウェア類などの
収納がしやすいようにできています。
さらにさらにレインカバーも標準装備!
一番下のポケットにジッパーで収納できる構造になっています。

容量36Lは日帰りから小屋泊までをカバーする中間のサイズ。
他にも日帰り用途の26L、テント泊までこなせる50Lもラインナップ。

収納からサイズバリエーションにかけて至れり尽くせりのアイテム。
オスプレーの中では使い勝手とコスパが非常に良く
無雪期の様々な登山スタイルに沿うマルチプレイヤーです!

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