冬季百名山

百名山11座目:那須岳(茶臼岳)~氷雪の作品群~(13.11.23)

俺の想いに応えるよう毎週末晴れてくれる11月。
今週のターゲットは那須岳に決定。

栃木と福島の県境にある火山群。
そのうちの茶臼岳・朝日岳・三本槍岳の三山を那須岳と呼ぶそうだ。
甲武信より標高低いし茶臼岳にはロープウェイもあるから
多少雪あっても行けるっしょ?と、タカを括っていた。

那須高原線を駆け上がっていくと路肩に残雪が見え始める。
それは標高を上げるにつれだんだん真ん中へと迫る。
『来るなよ。。来るなよ。。。』と、ビクビクしながら車を走らせていく。
そして登山口まであと1.5㎞というところのヘアピンカーブで道路真ん中に薄氷発見!
後輪駆動でノーマルタイヤの相棒はツルツル滑って進めなくなってしまった(´;ω;`)

登山口に行くのは諦め大丸園地まで戻り様子を見る。
駐車場は山から吹き下ろす烈風をモロに受ける場所で
車高の低い引き締まったサスペンションのRX‐8ですらグラグラ揺らす。
『ヤベェ・・・流石に朝までこの状況だったら登山は諦めよう』
と、不安を抱えながら眠りについたのだった。



朝になり外に出て那須岳方面を眺めると
それはもう完全な雪山でした(絶望)

稜線は雪煙が舞っている。ちょっとこれは行ける気がしない・・・
頼みの綱のロープウェイも強風のため運休している始末。
考えが甘かったか・・・(T_T)
眠かったのとショックで車内でふて寝。

しかし9時頃に目を覚ますとさっきまでの強風が嘘のように凪いでいた。
これは天が味方についたか?
あとは雪の状況次第だがこればかりは行ってみないと判断できない。
撤退上等!挑戦あるのみだ!

登山口へは道路を歩かなくていいようヘアピンカーブを
ショートカットする登山道が用意されていた。
これで500mほど短縮できるのでありがたい。

峠の茶屋駐車場を通り過ぎ山中に入っていくと鳥居と登山口を発見。
さぁ、ここからが本番だ。
足跡の状態から先行者が居そうなんで登れる可能性はより高まった。

序盤は軽い樹林があるが15分も歩くと森林限界を迎え
茶と白の入り混じった山肌が姿を現す。

右を見ると迫力のある赤茶けた岩峰が。火山って感じするなぁ。
見た感じも歩いた感じも雪少ないしなんとかなりそうな予感。

周囲の雪をよく見ると模様が入っていることに気づく。
規則と不規則の組み合わせは奥深く見惚れてしまう。
これは【風紋/シュカブラ】と言うそうだ。
山麓を通り抜ける爆風がこの模様を刻んでいるのだ。

分岐路である峠の茶屋に到着。
左手を見ると太陽の元、噴煙を噴き上げる茶臼岳が鎮座している。
風はもうほとんどなく日差しが気持ちいい。
雪もこのまま無ければいいのだが・・・



正面には那須連山の山脈が連なる。
いやぁ改めて見ると自分凄いところに来てんな。

右手を見ると急峻な岩峰。どうやらあれが朝日岳のようだ。
この雪だと登れる自信もないので今回は眺めるだけにする。

茶屋と朝日岳を背に茶臼岳に向かって登り始める。
ここから稜線歩きが始まる。

ここから氷雪の芸術が散目されるように。
周囲の岩には雪がびっしりと張り付く雪!綺麗なマダラ模様に目を奪われる。

表柱には集中線のような雪が!
その形から通称『エビの尻尾』という名が付けられているそう。
強風により氷着した雪が成長しつづけるとこうなるようだ。
風の吹く方向は一定なんだと解る。

茶臼岳のピークに灯る太陽に風紋の刻まれた波のような雪原!
うわぁこれは凄い・・・こんなの見れるなんて想定してなかったわ(゜Д゜)
次から次からへと出でくる雪が創り出すアートに興奮が治まらない!



更に山の向こう側の平野が見え始める。手前の湖は堀川ダムかな?

火口の分岐路までたどり着いたので右周りで山頂を目指す。
そこで見つけた謎のオブジェ。
ロープガイドのくっついたエビの尻尾が剥がれ落ちたできたもの。
冬はなんでもアートになるな・・・

火口が近づき硫黄の香りが漂い始める。
地熱の影響か山頂が近づくにつれ雪も浅くなってゆくのが助かった。
ゴールは目の前だ。

小さな祠が鎮座する岩で覆われた場所。
茶臼岳の山頂に到達!!

心配していた雪も殆どなく目の前には鳥居と青い地平線が広がっていた。
ほんと前日は爆風でどうなることかと思ったけど
普通に登れてよかったぁああ( ´Д`)

この喜びを忘れないうちに記念撮影だ!
天の道を往き、全てを司る!

SNSプロフィール用にローアングルキメ顔でも撮ってみる←
暫くこれがプロフ画像になりました(・`д・´)b



さて、山頂でのお楽しみ時間です。
甲武信ヶ岳登った時隣の人がラーメン食っててすげー旨そうだったんだ。
俺もそろそろ登山者らしい飯食いたくなったので
バーナーフルセットを購入し山飯デビュー!

組み立てて湯を沸かしラーメン完成。
手を合わせてから麺を啜る・・・うっっっま!!(°Д°)
自宅で食ったときの三割増しでうめぇ!!
消費した塩分と体温がラーメンによって満たされる至福の感覚・・・
ここまで登山に会う食べ物だったとは。環境と状況って大事だな。

お次は自宅で挽いてきた豆でコーヒーを作る。
油分の旨味を残すアルミフィルターで本格的に淹れ一口含む。
ラーメンの油っぽい余韻を香ばしい苦みが一気に消し去る。
はぁぁぁぁああ最っっ高だ( ꒪﹃ ꒪)
このコンボは病みつきになる。
もうコンビニギリなんて食べられない←
山での楽しみがまたひとつ増えた瞬間だった( ゚∀ ゚)

心もお腹も満たして満足!せっかくだし火口一周回ってから下山しよう。
東側は太陽がよく当たるからかほとんど夏道が出ており
気持ちよくて一気に駆け抜ける!
ん?こんな看板あったかな?記憶にない登山道に出る。
どうも駆け抜けすぎて分岐を見落とし
ロープウェイ側の登山口まで下りてきてしまったようだ( ´Д`)

しかし幸運にも風が凪いだお陰でロープウェイ復旧!
ちょっと金かかるの癪だが折角来たし
観光だと思って禁断の動力下山に手を染めてしまう←

ロープウェイの車窓から景色を眺め余韻に浸りながら山行を振り返る。
暴風雪のビクビク登山から始まったけど登山道を彩る氷雪の作品群が
いつのまにか不安を吹き飛ばしてくれていた。
がこれらを造ったのも昨晩の烈風なのだ。
恐ろしくも美しい雪山の片鱗を味わうことができた。

そして今回もたまたま運よく登れただけに過ぎない。
やはり冬山の備えは本格的に必要になることを改めて感じ取った。
過ぎていく景色を眺めながら、早くも心は次の山と装備に向かっていた。

ルートレビュー

難易度:D
季節と地形の影響でこの時期の那須岳は強風が吹きやすいそうです。
東北との県境のため11月でも今回のように雪山になっている可能性があります。
防風防寒対策&軽アイゼン、チェーンスパイクはあったほうが無難です。

体力度:E
標高1915m 標高差647m 平均斜度9.8°
2:00(3.8km) 下り0:30(0.9km)
コースタイム&標高差共に初心者レベル。
火山で溶岩がそこかしこにあるため靴をひっかけやすい所は注意点。
ロープウェイを使うと登りはわずか40分。
さらに登山装備の貸し出しも行っているので
観光ついでに登ることができます。

展望:A
登り始めてすぐ森林限界を超えるため眺望は抜群。
峠の茶屋から先は周囲を取り囲む那須連山の山々と彼方に見える飯豊山。
山頂からは広大な関東平野が見渡せます。

総評:B
一般人はロープウェイでお手軽登山。
初心者は麓から茶臼岳を簡単登山。
上級者は朝日岳&三本槍岳縦走登山。
各レベルに合わせた登り方が実現できる間口の広い山です。

締めの一言
後に那須連山最高峰は茶臼岳ではなく三本槍岳と知る(‘A`)
無計画登山ダメ、ゼッタイ。


初めて購入したバーナー プリムス・153ウルトラバーナー。
おそらく登山者の中で最も使用者が多いと思われるド定番のバーナーです。
わずか116gのボディに3600kcalの大火力。
熱の届く範囲が広いため湯沸かし以外にもロースターでモチやパンを焼いたり
焼き鳥を焙ったりと様々な山飯に対応可能な頼もしいお供。

カートリッジは以下の二種類。


↑春夏用のノーマルガス(サイズ250,500)

↑低温で着火しにくい冬季や高山向けのハイパワーガス(サイズ110,250,500)

季節によって使い分けられるのもポイント。
最初のバーナーとして十分すぎる活躍をしてくれるはずです。


バーナーとセットで購入したプリムス・イージークック・ソロセットS
材質は熱伝導性に優れるアルミ製で重量201g。
中には110サイズのカートリッジとバーナーを綺麗に収納できます。
(P153はギリギリだったかも?)
上下大小のコッヘルに分かれており、
大きいほうの内側には500mlまでの目盛りが刻まれています。
・大でお湯を沸かしてラーメンに注ぎ出来るのを待っている間に
小コッヘルにコーヒーを作って飲む
・大でパスタを茹で湯切りのお湯を小さいコッヘルに入れスープにして飲む
といった山飯において様々なテクが使えるため
自分はこの上下分割タイプを愛用しています。
チタン製で注ぎ口がついてれば100点なんですけどね!w

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