二百名山

二百名山3座目:雲仙岳~熱情宿る頂~(14.01.02)

2013‐2014の年末年始。
この時期は佐賀&長崎まで遠征し夜明けドライブを楽しんでいた。
前回の四国遠征で旅しながらの登山の楽しみを知ってしまったからには
今回も登らないわけにはいかないだろう。

近辺に百名山は無いのだがこのエリアでふと思いついた有名な山が雲仙岳だ。
1991年に噴火し火砕流で島原半島に大きな被害を出した活火山。
調べてみると二百名山かつ登山道もあるようで
コースタイムも短く旅の寄り道には丁度良さそう。
完全に冬季なため唯一積雪が心配されたが・・まぁ九州だし標高低いし行けるっしょ!
いつもの楽観視で長い旅路の最後を登山で締めくくることにした。



目的地への道路を走っていると突然謎の煙が視界を遮る。
『なんぞ!?( ゚Д゚)』と車を止め周囲を確認するとそこは雲仙温泉の清七地獄だった。
漂う噴気がライトアップにより幻想的な空間を創り出している。
『こいつぁすげぇ迫力だ・・・気に入ったぜ。今日はここで汗を流そう!』
雲仙岳への最高の前哨戦を終え明日への期待値を高める。

仁田峠第二展望台で夜を明かし朝日と共にデッキへ。
島原湾に煌めく朝日が眩しい・・・
天気はいまいちだが晴れるのを祈るしかないな。

登山口の仁田峠駐車場着。
ここからは前衛鋒の妙見岳が見える。

仁田峠から妙見岳までは雲仙ロープウェイが運行しており
登山道のショートカットが可能だ。

ロープウェイ乗り場に併設されている仁田峠第一展望台からは
更に高い岩峰が見える。あれが雲仙岳っぽいな?
若干雪が積もってるようだが・・・いつも通り行けるとこまで行こう!



散々ロープウェイの紹介しているけどそんな軟弱なもの使わないよ?←
まずは妙見岳を右に巻く普賢神社への参拝堂を歩く。
整備された階段の登山道には少し雪が残る程度だった。

見上げる先にはカッコいい岩峰。
火山の雰囲気を盛り上げてくれる。

参道と登山道の交差点である鬼人谷口に到着。
って日陰全然積雪してるやん・・・まぁ深くないし平坦路だしどうにかなるだろう。
ここから普賢岳への周回路があるのだが右回りの一方通行とのこと。
なのでまずは西の風穴を経由して鳩穴別れへと向かう。

このルートがほどよく勾配もあり日陰で凍結気味。危うく何度か転びそうになる。
まずい・・今まで運だけで登ってこれたけど流石に今回は無理か・・・?

今こそ奥の手を使うときが来たようだ。ニューアイテム・軽アイゼン装着!
いやー万が一と思って買っといてよかったわ。
ラチェットを締め付け踏み出した一歩に衝撃が走る。
『なんだこのグリップ力!?( ゚Д゚)』
雪の斜面なのに滑る気配すら感じさせない。
走っても片足立ちしても無雪期の登山道以上の安定性。
逆に雪じゃない所歩きたくなくなるくらい素晴らしいアイテムだった。
もっと早く使えばよかったな・・・新たな装備と共に山での感動は増えていく!

雪面を激走しあっという間に西の風穴へ到着。
説明版通り手をかざすとエアコンのような冷風を感じる。
夏ならともかく今の時期は全然うれしくねぇな(´Д`)・・・先を急ごう。

周回路折り返し地点の鳩谷別れに到着。
後ろを振り返ると・・・

北方面の眺望が一気に開ける!よし、ちょっと晴れてきたぞ。
もう少し雲が取れれば有明海も見えそうだ!

立岩の峰に近づくと雲の中からライジングサン。
いいぞ、天が味方についてきた。この調子なら山頂着く頃には晴れる!



立岩の峰に到着!
目の前の巨大な岩塊・・・その名は平成新山。
1991年の噴火時に山体が膨張してできた日本で一番新しい山
ということがその名の由来だろう。
登りたかったけどこの先は規制のため立ち入り禁止だった(T_T)
いつか登れる日が来ることを祈り、山頂へと指を突き上げた。

周囲を見渡せば火山が創造する隆起した地形を雪が彩っていた。

炎と氷が作る赤と白のコントラスト。こんなのなかなか見れないぞ!
改めて凄い場所に来ていることを感じさせてくれる。

あとは普賢岳に向かうだけ・・・と思いきや更なる分岐発見。
せっかくなんで霧氷沢とやらに行ってみる。

その名の通り霧氷に覆われた枯樹の群生があった。
日陰&風の通り道になっている沢でここだけ霧氷が大きく成長するようだ。
ほかのエリアとは違う形で冬を感じられる良い場所。
この先は行き止まりだったので来た道を引き返した。

分岐路から戻ると先行者の姿。ん?・・・なんかザック動いてね・・?
近づいてみると犬が顔を出していた( ゚Д゚)

話を伺うともう老犬で目もよく見えなく足もおぼつかないのだと。
それでも山に行くと家にいる時より楽しそうにするので
こうして背負って定期的に連れてきているそうだ。
長年のパートナー関係を感じさせるエピソードに胸が熱くなる。
幸せに暮らせよ(´;ω;`)



雑談しながら普賢岳山頂に到着!先客にも犬は人気で囲まれる。
話していくと関西やら中部やら結構遠方からの来訪者ばかり。
やはり年末年始は皆いい旅をしているのだな。
お互いの旅の成功を祈り皆の下山を見送る。
さて、山飯にしよう!

ってまた犬来たよ。雲仙岳散歩コースかよ( ゚Д゚)

イケメン黒柴君。
まだ1歳の遊びたい盛り。飛び掛かってきて盛大に服を汚される←
でも山で動物と触れ合うってのもなんか新鮮で悪い気はしなかった。

話を伺うと地元島原の方で散歩がてら連れてきているんだそう。
一応被害出した火山なのに地元民に愛される山に戻ったのだな。

服を汚したオトシマエは写真撮ってもらうことで清算。
ここが平成新山ができる前の最高峰・普賢岳だ。

ここから120m近くも山体が盛り上がっている。
youtubeに残っている噴火当時の映像を見るとこの一部が崩壊し
そのまま火砕流になっている様子が映っていた。
こんなん崩れてきたらひとたまりもないよな・・・

ハイパーズームするとわずかに噴煙が確認できる。
登れないのも致し方なし・・・か。

さて、景色も満足したし普賢岳でもカップ麺という名の噴煙を上げるとしよう!
好天と絶景の中で味わうこの瞬間だけは何物にも代えがたい(T_T)
九州系カップ麺にしなかったことだけは今でも後悔している←
いつも通り山頂での儀式を終え下山路へ向かった。



普賢岳を下山すると鬼人谷口の交差点へ合流。これで周回路を一周したことになる。
元々は普賢岳のみ取って帰る予定だったけど山頂で様々なものに元気をもらったので
このまま全ての登山道を歩ききってやろうと思い立つ。
分岐路から少し西へ歩き国見分れを経由し国見岳にも登頂!

国見岳からの景色。カルデラの谷を挟んでの眺めは
平成新山の高さと迫力を最も感じられるベストビュースポット!
ここは雲仙岳を訪れたら是非とも登ってほしい場所だ。

残る一座は視界の先にある妙見岳のみ!
アイゼンを駆り尾根道を駆け上がる。

山頂には妙見神社が座する。
記念撮影していたハイテンションな外国人に呼ばれなぜか一緒に写真に納まる羽目にw
旅も山も一期一会。ノリが大事だよな!

今日も最高の登山をありがとうございましたァ!(‐人‐)

あとはゴールの仁田峠駐車場へ向かって駆け下りるだけだ。

この道中にも地元民の老夫婦と雑談しながら下山。
お互いの地元話したり転びそうになったのを助けたり山装備のアドバイスしたりと
楽しく会話しながら気づけば駐車場にたどり着いていた。

いやぁ・・本当にあっという間の登山だった。
人・動物・自然に様々な熱を分けてもらえて心も体も燃え尽きそう。
これからは遠征登山は絶対にやろうと心に決めた。

長らく続いた長崎の旅はこれにておしまい。
だが旅にはまだ最後のミッションが残っていた。

貰った熱情を力に変え、徹夜で700㎞兵庫まで激走。
翌日早朝に友人と合流しツアーバスでスノーボード決行!(;´Д`)

この友人はスノーボードの楽しさを説いてくれた人でさ。
それに感化され頑張って練習して滑れるようになってさ。
やっと一緒に滑れる時が来たんだよ。
だから絶対に間に合わせなきゃいけなかった。
という番外エピソードを最後に添えて。
情熱があれば・・・なんでもできるさ!!

ルートレビュー

難易度:D
登山道的には危険個所はありませんが
活火山&冬季という部分で注意が必要です。
軽アイゼン&ヘルメットはザックに忍ばせてておくのが安心です。

体力度:E
標高1359m 標高差293m 平均斜度5.8°
登り2:30(2.9km) 下り2:05(2.5km)
コースも高低差も短く危険個所もなし。
犬の散歩には丁度いい山です←

展望:B
鳩穴別れ~普賢岳の区間と国見岳が絶景のツートップ。
火山大地の迫力を存分に楽しむことができます。

総評:B
わりと近年に噴火しているため噴火時の映像が沢山残っており
恐ろしさと美しさを同時に知れる貴重な山だと思います。
一度映像を見てから登ることでより山を深く味わうことができるでしょう。

締めの一言
災も恵も受け入れる。これが共生。


今回大変お世話になったモンベルの軽アイゼン・スノースパイク6クイックフィット。
一般的な軽アイゼンは紐で取り付けるものがほとんどですが
これはラチェットバックルを使用しているのが最大の特徴。
①ベルトを展開
②足を入れてベルトを通す
③ラチェットを締める
という3工程で装着可能な名前通りのクイックフィットさが最大のウリ。
緩んだ際の締め上げも数回レバーを引くだけで完了。
またラチェットレバーは左右に分割されており両方同時に引かないと解除されないため
雪つまりや岩にひっかけてうっかり外れる・・・という状況も起こりにくくなっています。
アイゼンは残雪状況によっては着脱が多くなることもあるので
着脱の手軽さは非常に大きなアドバンテージになります。
裏面にはアンチスノープレートもついておりチェーンアイゼンと違って
足裏に雪団子ができにくいのも良ポイント。
初冬・冬の低山・残雪期まで万が一のお守りとして
ザックに忍ばせておきたいアイテムです。

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