百名山

百名山40座目:羅臼岳~天国に一番近い山~(14.08.15)

長らく続いた北海道遠征もこれが最後の山。
百名山最東端となる・羅臼岳(らうすだけ)を目指す。

知床横断道路最高地点である知床峠のすぐ近くにある1661mの火山なのだが
意外にも峠からの登山道は存在せず半島の北側であるウトロ、
もしくは南側である羅臼方面からしか登ることができない。

海の近くから登るため標高差はかなり大きく
日帰りではハードな部類に入る山。
まさに最後の挑戦に相応しい難易度と言えるだろう。

実は知床峠も去年バイクで訪れてはいるのだが景色はこのザマw
あまりの霧雨と寒さで即撤退した苦い思い出しかない。
だから今日の登山もある意味去年のリベンジだ!
山頂から眺める絶景を夢見て、登山口まで車を走らせた。

今回は北のウトロ側からアタック。
スタート地点である池の涯ホテル駐車場に車を止め
その裏手にある木下小屋から9:30スタート。
ここから標高差1400mの戦いが始まる!(; ・`д・´)b



うっそうとした樹林が続き見通しの効かない登山道。
世界遺産でもある知床半島はヒグマ有数の生息地で
羅臼岳での遭遇率は他の山よりかなり高いと聞く。

この状況だといつどこから出てきてもおかしくはなく
常に緊張感に晒され腰にぶら下げた熊撃退スプレーから指を離せない。

次の瞬間、森の奥からなにかの気配を感じ咄嗟に振り向く!(;゚д゚)

なんだ鹿かよ(;´Д`)←

焦らせやがって・・・
特に鳴いたわけでも動いたわけでもないのに
この距離で気づけた自分も野生の本能が高まっていると感じる。

11:30頃にやっと標高1200弱の大沢入口に到着。
ここまで景色のない樹林帯が続いたため
ヒグマとの遭遇に怯え続け精神をすり減らす。
天候は霧雨へと変わり濡れた体が体力の消耗を加速させる。
そして連日登山してきた疲労が足に蓄積され完全にバテる。
全ての状況が俺の心を折りに来ていた(‘A`)

雨の時は。。濡れた植物の美しさで心を保つんだ。。。(;´Д`)



12:15にようやく羅臼側からの登山道合流地点となる羅臼平に到着。
キャンプ地となっており周辺には金属製のフードロッカーが置いてある。
これはテント内に食料を置いておくと鼻の利く熊が襲撃してくる
惧れがあるため食料を一時補完しておく北海道ならではの施設だ。

しかし日帰りできる山なのになぜテントが?
聞いてみるとここから東方面にある知床硫黄山まで
縦走が可能だそうでそっちに行くとのこと。
ヒグマとの遭遇率100%らしいけどな!死ぬなよ!🐻

ハイマツの向こう側に山頂と思わしき岩塊が見える。
よし、あとちょっとでこの苦行が終わる・・・

見晴らしの良い歩きやすい登山道になる。
しかし山頂は依然として雲の中・・・あまりの虚しさに
『俺は何しに来てんだろう?』という自問自答が続く(;´Д`)

登り続ける途中に岩清水という水場があり
おばさん登山客が群がっていた(画像左中らへん)
テンションが下がりきっていた俺は
さらっと通り過ぎようしたとしたが絡まれてしまう←

おば「ちょっとお兄さん!これ美味しいから飲んでいきなよ!」
俺「はぁ・・・じゃあ、いただきます( ꒪﹃ ꒪)」
と、気怠そうにカップを受け取る。
俺「ゴクゴク・・・!! なにこれウマッ!!!(゜o゜)」
おば「でしょう?」

苔の間から滴るように出ており給水に時間はかかるものの
植物を伝ったミネラル分と絶妙な冷たさが体に染み渡り本当に元気になった。

俺「疲れ切ってたんですけどマジで元気になりました!!あざす!!(  ゚∀ ゚)」
おば「どういたしまして!山頂楽しんでおいで(^^)」
先程とは別人のように力強く登山道を駆け出した。

山頂直下は急斜面の岩登りが続く。
だが命の水を得た俺はもう止まらないぜ!!(=゚ω゚)ノ



13:00に山頂着!\( ^o^)/
そこから見えたものは・・・

上空には朧げな太陽と雲、足元には雲海。
山頂の空間だけ晴れ間が広がっている不可思議な世界があった。
え?ここは・・・天国?(˙Д˙)
もしかして俺いつのまにか熊にやられてる?←
あっけにとられ呆然と景色を眺めてしまう。

我に返って足元を見ると苔に覆われた岩塊の絨毯。
噴火から長い年月が経過したことを伺わせる。

そして山頂標識の先には微かに知床半島のような山脈が見える。
・・・これは少し待てばチャンスあるかもしれないな。
暫くの滞在を決めた。

山頂儀式で時間つぶし。
今回の遠征では気軽に買えて手軽に作れるカレー&スープの
無敵の組み合わせには実に世話になったぞ(-人-)
食後片付けを終え振り返ると・・・

雲が取れてる!!!(゚∀゚)
知床半島の山々かっけええええ!
山頂に居る誰もが興奮を抑えきれずざわめいていた。



山頂からの稜線を縦構図で収める。
左奥にある尖ったピークが羅臼平で聞いた知床硫黄山のようだ。
こんなん見たら誰でも歩きたくなるよなぁ(´▽`*)
晴れていればオホーツク海や国後島まで見えそうだ。
よし、次来るときはヒグマと刺し違えてでも挑戦しよ!←

北海道最後は区切りの40座目!
フォーピースで記念撮影!(*^^)vv

下山しつつ山頂を振り返る。
曇っててこんな満足できた山は初めてだ。
次は絶対に快晴で頂を踏みたい。また来るぞ!



羅臼平から改めて見上げる頂。
今日は登らせてくれてありがとう(-人-)

あとは樹林帯を一目散に下山。
しかしここでまたなにかの気配を感じ咄嗟に振り返る!(;゚д゚)

なんだ狐かよ←
冬はモフモフしてるイメージだけど夏毛になるとゲッソリしててまるで野良犬。
まぁ北海道の路上では野良犬より遭遇率高いけどな。

樹海の切れ間からオホーツク海を照らす夕陽。
天気は悪かったけどなんだかんだいろんな表情を見せてくれた羅臼岳。
無事何事もなく16:30にホテル駐車場へ下山した(; ・`д・´)b



ここから旅のエピローグへ。

車に乗ってからすぐさま昨年のリベンジのため知床峠へ!
まぁ・・山頂の時点で予測できてたけどこうなるよね←
いつか晴れる日は来るのだろうか(´;ω;`)

続いて知床半島と根室半島の間にある尻尾のようにチョロンと生えた野付半島へ。
倒木の湿原の中に野生の鹿が集う退廃的な雰囲気の良い場所だった。

半島から戻る際に快調にストレートを飛ばしていたら
突如道路に飛び出す鹿!横切るかと思いきやなんと前進。
『うわぁぁぁああぶねええええっ!!( ゚Д゚)』
急ブレーキを踏むも間に合わず鹿のケツに追突←

・・・バンパー割れたじゃねぇかよ(‘A`)
お互い「ケガ」はなかったけど
割れ目に鹿の「毛が」挟まってたというオチがつく←



8月16日。
根室半島の先端である納沙布岬で夜を明かす。
最速の夜明けを見たかったのだが残念ながらこの日も曇り・・・
しかし相棒と共に本土最東端を制覇できたことは未来永劫俺の誇りとなるだろう。

あとはひたすら西へと戻るだけなので気が楽なものだ。
道中の霧多布にてなぎざのドライブウェイを発見。
車を侵入させドリフトごっこをしてたら
タイヤの溝が少なかった所為か普通にスタックして進まなくなる\(^o^)/オワタ
一瞬焦ったけどバックギア入れたら出れたので事なきを得た。

8月17日。
道の駅サーモンパーク千歳にて道民の友人と再会。
今回の旅や互いの近況を語りつくし一日をのんびり過ごす
疲れてるはずなのに人と話すと元気出るんだよなぁ(*´ω`)

千歳から小樽まで一緒に様々な峠を駆け抜け、
贅沢の限りを尽くした一日。
夜の運河で再会を誓ってお別れしジャジーな夜を過ごした(*´ω`)



最終日の8月18日。
小樽から出るフェリーにピットイン!
もう・・・あとは帰るだけだ(´;ω;`)

さらば北海道。
残る3座のために、また俺は帰ってくるぞ!

踏破した6座のバッジを眺めて旅を振り返る。
今回はバッテリーあげたり、台風来たり、時間読み違えたり
シカに激突したり、スタックしたりと何度もピンチが訪れたけど
全て乗り切って予定した全ての山を登ることができた。

そして『夢を共有する仲間たちと出会い、また其々の明日へと旅立つ』
というまるでRPGのような貴重な体験ができたことも大きい。
これ夜明けドライブを初めてから
『各都道府県に友人居ればこういうアツいことやれるのになぁ』
ってなんとなく思ってたんだ。
あの時の夢、叶った・・・本当に嬉しかった(´;ω;`)

夢は行動する力となる。
その力は夢に近づく手段となる。
そんな当たり前のことを教えてくれた北海道の山々には深く感謝したい。
次にこの蓄えた力を解き放つのは秋の北アルプスとなるだろう。
終わらないアツい夢を胸に抱きながら、3073㎞の旅路を終えた。

ルートレビュー

難易度:C
樹林区間はヒグマと鉢合わせする危険性が高く
長い緊張感が続きます。山頂付近の岩塊は
基本的な岩登りスキルが必要となります。

体力度:C
標高1661m 標高差1432m 平均斜度12.9°
登り4:55(6.4km) 下り3:25(6.4km)
距離に反比例する大きな標高差と斜度。
同時にヒグマへの警戒をし続ける必要があるため
体力と精神の消耗が予想以上に激しい山です。

展望:C
羅臼平から周辺の展望あり。
山頂からは知床半島火山群を一望。
晴れていればオホーツク海や国後島の山々まで
見たわせる絶景が広がるでしょう。

総評:A
熊に怯えながら長い樹林を抜けるといきなり
両側は海というとてつもない開放感のある山。
快晴で天国を味わう? or ヒグマに殺られて天に召される?
良くも悪くも非日常感と天を味わえる実に奥深い山です。

締めの一言
Power of Dreams….MAZDA‼←


ヒグマの生息する北海道登山では必須と言えるアイテム。
唐辛子成分の入った刺激物を撒き散らし熊を怯ませて撃退します。
風向きを考えないとウッカリ自分も喰らってしまいますが
熊と対峙した状態でその冷静さがあるかどうか・・・
まぁ死ぬよりはマシと割り切りましょう。

咄嗟に使えないと無意味のため
基本的にはホルスター付きのものを買って
腰などのすぐ取り出せる場所に装着がオススメです。

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