百名山

百名山23座目:金峰山~五丈岩の英雄~(14.06.21)

春休みを終えてから様々な人との登山が続いたここ二ヶ月。
新しい経験による価値観の変化を感じた充実した日々であった。
しかし孤独に山と向き合い己を鍛えることも忘れてはならない。
そろそろソロで挑戦しよう←
誰にも合わせる必要は無いしここいらで少しハードな山をぶち込もう。

というわけで次のターゲットは金峰山(きんぷさん)に決定!
山梨・長野県境の奥秩父山塊にある標高2599mの山。
この山域は慣れ親しんだエリアで
既に雲取山大菩薩嶺両神山甲武信ヶ岳を踏破済み。
これらの名峰に続く最後にして最高峰の頂となる。

すぐ隣にはまだ未踏の百名山・瑞牆山(みずがきやま)もあり
天候・体力次第で連日登頂も狙えそう。
これ以上ない修行の場として白羽の矢は立った!
緊張と興奮の入り混じる中、深夜のクリスタルラインを激走した。



AM5:00、瑞牆山荘の駐車場にて起床。
相棒を眺めながら静かに闘志を漲らせてゆく感覚も久しい。
今日もいい一日にしよう( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ

駐車場角からのショートカットルートで登山道へ。
樹林帯を進み緩やかな坂を上り続ける。

一時間弱で富士見平小屋に到着。
ここから北に進めば瑞牆山、東に進めば金峰山。
二座を踏破したい人の拠点となる山小屋だ。
小休止の後、東方面に歩を進める。

プレートが木に食い込んでる・・・( ゚Д゚)
小さい時に取り付けられた看板が
成長と共に一体化してしまったのだろう。
痛ましくもあるが登山史の長さも感じますなぁ。

苔の繁茂する幻想的な登山道が暫く続く。

寄ってみると新たな世界がそこにある。
マクロレンズ欲しくなってきたぞ←

巨大な倒木。
ずっと樹林だけど個性的なアイテムが多く撮ってて飽きない。

景色が無いときは植物を撮れ!
祖母山から教わった教訓を生かすとき。



小屋からさらに一時間で大日小屋に到着。
無人小屋ではあるがボックス投函で使用料を払うスタイルの様子。

ここから勾配が増え登山道も少しワイルドに。
まだ景色は無いが無心で山と向き合える喜びに足はどんどん加速していった。


黙々と2時間ほど登ると突然樹林が無くなり砂払の頭という大砲のような岩が現れる。

こんな映える場所自撮りしかないっしょ!( ゚∀ ゚)
しばらくSNSアイコンとなりました←



先を見るとエッジの効いた素晴らしい稜線が伸びている!
・・・だが今回は太陽は味方してくれなさそう(´;ω;`)

霧に覆われたり抜けたりを繰り返すが
ふと視界が晴れると足元が急に断崖になっていてぞっとする。
うっかりルートミスしたら死ぬぞこれ(-人-)
霧だと気の抜けない登山道だ。

進む先に大岩のような影がおぼろげに見える。
あれが山頂かぁ?

振り返れば刺々しい山稜が連なる。
おお、こんなカッコいい場所歩いてたのね。
晴れてほしかったなぁ。゚(゚´ω`゚)゚。

おぼろげだった岩塊がはっきりと見えてきたあたりで山頂を確信。
これが金峰山の御神体である五丈岩!
丈というのは古い単位で約3mのこと。
5丈なんで約15mと名前とサイズも釣り合う。



山頂標識より隣に高い場所があったのでふて寝しながら記念撮影←
後で調べると三角点は2595m、
この岩塊が2599mだそうなので俺の判断は正しかったようだ。

あれ?そうすると本当の山頂って五丈岩なのでは?
でも流石にご神体だし登るのはアウ・・・って皆トライしとるやん( ゚Д゚)
近くに行くと階段のように岩が組まれていたり岩縁が指を掛けやすいように
抉られたりして登ってよさそうな雰囲気だったのでダメ元で自分も挑戦。

岩は 弓←こんな感じのルートになっていて端にたどり着くと
手をかけて体を引き上げるというアクションを4回ほど求められる。
1段目、2段目はサラッとクリアしたが
3段目で不思議と先行者全員が諦めて引き返してゆく。
自分も挑戦してみてその難しさを理解。
手をかけて体を引き上げることはできるのだが3段目の奥行はかなり狭い。
そのせいで上体をねじ込むスペースがなく足をかけるタイミングがつかめない。

(´-`).。oO(誰も登ってないこの頂点を極めたら俺、英雄になれるかもしれない)
邪な気持ちが強くなり諦めずに試行錯誤←
上体を両手で持ち上げたまま絶妙にバランスを取って右足をかける。
次に左手で周辺の掴めそうな岩を探して右足と左手でゆっくり体を押し上げて・・・
左足乗ったァ!難所の3段目クリア!( ・`д・´)b

そのまま右に歩き最後の4段目に挑む。
段の高低差は一番大きく背伸びしてギリギリ手がかかるくらい。
つかむ場所さえあればいけるな・・・お、くぼみ発見!( ゚∀ ゚)
あとは岩の隙間に右足ねじ込んで・・・!!

取ったどおおおおぉぉぉ!!!\(´༎ຶོρ༎ຶོ`)/
まさかの一発成功。
周囲から拍手と歓声が沸き起こり名実共に俺はヒーローとなった。
おそらく今日初めての成功者だろう。

クライミング経験ゼロだけど・・・あれぇ?俺様、ひょっとして才能あるぅ?( ゚∀ ゚)
と、盛大に勘違いし始める←
まぁ幼少期押し入れに上り下りしていた経験が生きたなような気はするな。



五丈岩より山頂を見下ろす。
・・・ユーエツカンパネェナ( ꒪﹃ ꒪)

英雄になった物にのみ献上を許される賽銭箱。
・・・コゼニワスレタ(´;ω;`)

岩上から歩いてきた稜線を眺める。
晴れてたら高度感あってビビったかもだからこれでよかったのかもしれんな。

シッカリ記念撮影も忘れずに。
確かに俺は、金峰の最高地点に立ったのだ!٩( ‘ω’ )و

さて、そろそろ独りヒーロごっこは終わりにしよう←
名残惜しくも五丈岩を去る。下りは迷いなくスルスルと下山可能。
この天気では待っていても眺望は期待できなさそうだったので
荷物をまとめ帰路に着くことにした。



下山は金峰山小屋に寄り道してバッジ購入。
ふと足元を見ると真っ黒な犬がうずくまっててめっちゃ驚くΣ( ゚Д゚)
こ、これはキンプヤマイヌ・・・?
ではなく小屋の看板犬ユズヒコ君というそうだ。
驚きすぎて写真を撮っていなかったことが悔やまれる(検索推奨)。
宿泊すればずっと遊んでいられる犬好きにはたまらない山小屋だね!🐶

周辺にはまた登れそうな岩が・・・まぁ、もういいか。
あとは小屋を西に進んで尾根と合流。来た道を引き返した。

13時頃に富士見平小屋の水場にゴールイン!
往復8時間の長時間稼働と久々の2500オーバー標高により若干の高山病”(-“”-)”
さらに晴れなかった残念さも重なるのだけれど
五丈岩の英雄になれたことでとにかく気分は爽快だ!
クライマーズハイに浸りながら命の水で喉を潤し、
一日の疲れを疲れをしっかり癒したのだった( ˘ω˘ )

ルートレビュー

難易度:D
樹林帯には木の根が張り出して歩きにくい区間や
稜線にはすぐ横が断崖となっている箇所もあり
ほどよい緊迫感が楽しめるルートです。

体力度:C
標高2599m 標高差1084m 平均斜度12.3°
登り4:10(5.1km) 下り2:25(4.1km)
距離と標高差のバランスがよく中級者に適しています。

展望:D
ガスってしまったのでどうしてもこの評価に・・・
それでも砂払の頭岩から山頂までの
ダイナミックな稜線はこの山のハイライト。
五丈岩の迫力も間近で体感する価値はあります。

総評:B
奥秩父山塊の百名山では最高峰。
晴れで楽しめるのはもちろんのこと
悪天候でも苔生した雰囲気の樹林、鋭い稜線、迫力の五丈岩は健在。
ほどよい難易度の瑞牆山荘コースと
簡単に登れる大弛峠コースを併せ持ち
どんなシチュエーションでも楽しめてしまう山です。
腕に自信のあるクライマーは五丈岩にも挑戦して英雄を目指しましょう!

締めの一言
ゾルダ『英雄ってのはさぁ、英雄になろうとした瞬間に失格なのよ。
お前、いきなりアウトってわけ』\(^o^)/

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