百名山

百名山32座目:仙丈ヶ岳~光と影の女王~(14.07.28)

SNSの集い第四弾。
グループ内の出会い厨と化していたワタクシは
まだ会ったことのないメンバーとの登山計画を立てていた。

俺『今月どこか行ける日ある?(゚∀゚)』
新メン『28なら大丈夫だよ(*’ω’*)』
脳内俺:28か・・・北岳降りた翌日になるけどまぁ簡単な山ならいけるよな(; ・`д・´)
俺『おけ、行きたい山とかある?』
新メン『そうだなぁ・・仙丈ヶ岳行ってみたい!(´▽`*)』
脳内俺:仙丈?聞いたことあるけどどこだろ?ちょっと調べるか・・・( ゚д゚)ハッ!
北岳の近くやん!しかもアルプス初心者向けっぽいしこれならイケル(゚∀゚)!!

俺『よし仙丈にしよう!実は前日北岳登るんで山梨まで来てくれれば拾える!』
新メン『そうなの!?(笑)わかった電車で行く!北岳きをつけてねー(^^)/』
俺『アルプスで男磨いてくるわ(゚∀゚)』
新メン『(笑)あ、そうだ、友達連れて行っていい?』
俺『山好きなら誰でもウェルカム( ・`д・´)b』
新メン『ありがとー!じゃ二人で行くね(‘ω’)』

と、言うわけで北岳下山後奈良田駐車場を後にして
風呂や食料の準備を済ませ山梨駅で二人を拾う。
再び奈良田へと舞い戻り駐車場で車中泊&テント泊を決めた。

・・・今振り返るとどう考えても頭のおかしい日程なんだが
新たなる出会いとクライマーズハイを患っていた俺は留まる所を知らなかった←



登山口へ向かうバスの車窓から見えた仙丈ヶ岳。
北岳の真北に位置する3033mの山で
その穏やかな山容は南アルプスの女王と称される。
歩行距離も往復8㎞程度で南アルプスのデビュー戦には最適な山なのだ。

登山口である北沢峠までは
北岳登山で使ったバスに乗り、奈良田820m→広河原1520m(1030円)まで移動。
ここから別のバスに乗り換え、広河原1520m→北沢峠2036m(1000円)に到着する。
簡単な山の代償として往復4060円の大金をはたき登山口へとたどり着いた(;´Д`)

朝の準備に手間取りまたしてもバスを1本逃した影響で
北沢峠に着いたのは9時25分。
まぁ簡単な山だし十分いけるかなと思っていたのだが
登山口で出会ったおじさんに話しかけられる。

おじ『君たち今日どこまで行くの?』
俺『仙丈日帰りっす!』
おじ『えっ、今からだと遅くない?』
俺『えっ、やばいんすか?』
おじ『えっ、バス最終便間に合わないかもよ?』
全員『えっ(゜_゜)(゜_゜)(゜_゜)』

現時刻は9時40分。
コースタイムは往復約7時間
戻りのバス出発時間は16時・・・二ジカンタリナイ\(^o^)/オワタ

最速のバスに乗っていれば7時15分に北沢峠に到着したので
十分往復する時間があった。
俺一人だったら間に合わせることもできるかもしれないが
今回はゲストが二人いらっしゃる・・・ヤッチマッタ┐(´д`)┌
まぁ可能な限り急いでいけるとこまで行くとしよう。

というわけで今回一緒に登るメンバーのようこちゃん&友人のゆうちょさん。
二人とも日帰りメインの初心者。
彼女らに女王は微笑んでくれるだろうか・・・

序盤は樹林帯の登山道をひたすら駆けあがる。
とにかくペースを上げるためゆうちょさんには自分のストックを付与。
要所要所で二人を応援しつつハイペースで樹林を登っていく。

中間地点の五合目である大滝の頭に11時20分到着。
応援した甲斐もありこの時点でコースタイム30分巻きで登れている。
このペースを維持できればなんとか間に合うか?

小休止の後、樹林を登り続けるが
2500ⅿオーバーの標高による酸素不足から二人のペースが徐々に落ちはじめる。
俺は昨日北岳登って高地順応できているけど
今日800mからいきなりバスで連れてこられた二人には辛いだろうな(;´Д`)

森林限界を超えたあたりで上で待機していた俺を見上げようこちゃんが一言発する。
よ『(*´Д`)ハァハァ・・私たち時間内に登るの無理そうだし先行っていいよ』
俺『(゜o゜)』

俺の表情に焦りの色が出ていることを感じ取ったのだろう。
一緒に登っている以上二人をガイドしなればならない立場ではあるが
未熟な自分は百名山ハンターとしての欲望を優先してしまった。

俺『ごめん・・・ありがとう。なるべく早く戻ってくるから!ε=( ´;ω;`)』
二人を振り切って爆速で稜線を駆け出した。



12時20分にひとつ手前のピークである小仙丈ヶ岳に到着。
さぁ、何が見える?

『うわぁカッコよ!!( ゚Д゚)』と思わず声が出る。
まるでスプーンでえぐり取られたような形の頂。
これは小仙丈沢カール(圏谷)という地形で氷河が成長と共に山肌を削ったものだそう。
包み込むように腕を左右に広げる稜線が女王と呼ばれる所以なのかもしれない。

そして左を見ると・・・あれは北岳と間ノ岳!( ゚Д゚)
てか昨日あそこ居たんだよな・・・あんなにボコボコにされたのに
今元気に登れている自分が不思議で仕方なかった。

カール上部から小仙丈ヶ岳を振り返る。
緑の中に切られた登山道が美しい。
山頂まであとわずか!

・・・と思ったらまだ先があった(;´Д`)
先ほどの小仙丈沢カールは山頂ではなく
奥にある仙丈藪沢カールの稜線を乗り越えた先が真の頂。
登れなかった二人のために写真だけでも持ち帰るんだ・・・
ここまで来たらゼッタイ取るぞ!



ついた・・・(*´Д`)ハァハァ
時刻は13時ジャスト、コースタイム1時間巻きの3時間で到着!
北岳で高知順応した体が功を奏したな・・・
残念ながら周辺は曇に覆われ景色は見えなかった(´;ω;`)

歩いてきた稜線は視界あり。少し落ち着いて景色を眺める。
やっぱりこのダイナミックな稜線はアルプスを感じさせるよなぁ。

カールの麓には仙丈小屋が見える。
そっか。ここに泊まるっていう選択肢もあるよな。
そうすりゃもっとゆっくりできたんだよなぁ(´;ω;`)

山頂にいたおじさんに記念撮影を依頼。
帽子構えてポーズ取ったら
おじ『Kawasakiの社員?』
俺『いえ、Kawasakiのライダーです』
バイクが解る人に出会えて少し嬉しかったw

傍らに生首が転がるホラーな頂((( ゚Д゚)))

山頂儀式はゼリーのみを10秒チャージ、二時間キープ!
わずか10分の山頂滞在を終え速攻下山に入る。(゚∀゚)
百名山ハンターとしての仕事は終えた。
次は先に降りた二人の山ガールハントだ!(゚∀゚)←



稜線を必死で走っていると雲が割れて青空が顔を出す。
雲海から出てきたのは甲斐駒ヶ岳!

雲が掃けた瞬間をハイパーズームで切り取る。
しかし凄い色と形してんなぁ、パッと見雪山だよ。
仙丈ヶ岳の山容はなだらかで女性的であるならば
甲斐駒ヶ岳はゴツゴツした男性的な山容と言えるだろうか。
登山欲が高まるぜぇぇぇえ!( ・`д・´)

そして右手には改めて北岳の姿。
昨日の絶景を思い出して感慨深くなる・・・(´;ω;`)

行けなかった間ノ岳に悔しさが滲む・・・( ´Д`)
必ずリベンジしに行くからな!
こうして歩きながら様々な感情を揺さぶられるのは流石アルプスだ。

もう取れ高は十分。
樹林帯に戻ってからは光の速度で下山。
鍛えぬいた足でサスペンションのように登山道の衝撃をいなし
重力に引かれるまま登山道を加速し続ける!
あれ?俺トレイルランの才能あり?(゚∀゚)
と、また金峰山のような残念な勘違いをし始める←

登山口まであとわずかという所で先に下山していた二人を射程圏内に捉える。
まさか追いつかれると思っていなかった二人には大変良いリアクションと共に
バケモノだの人間じゃないだの頭と脚がおかしいだの
散々罵られてちょっと気持ちよくなる(。д°)←ドM

二人は小仙丈ヶ岳より手前で引き返したそうで
景色はほとんど見れなかった様子だった(´;ω;`)
なんだかんだ15:00には下山でき、最終便のリミットを1時間ほど余らせる結果に。
自分の足の速さに自信がついたと言えば成功ではあるが、
二人を山頂に立たせてあげられなかったという点で企画者としては失敗。
素直に喜べない自分が居た(~_~)

そして百名山ハンターとしてもうひとつ大きなミスがある。
北沢峠までのバス代は総額4060円と決して安くない。
そしてここを拠点にもう一つ日帰りで取れる百名山・甲斐駒ヶ岳がある。
つまり北沢峠に宿泊し仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳を
それぞれ日帰りで取るというのがこの山域のセオリーだったのだ。
後からこのことに気づき激しく後悔した(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

情報収集、登山計画、同行者のレベル。
これらをしっかり練った上で山を決めないと
全員が幸せにはなることはできない。
まだまだ自分が初心者であることを心に刻む苦い山行となった(T_T)

ルートレビュー

難易度:D
女王と称される穏やかな山容のため
危険個所は無く一般的な登山道で構成されています。

体力度:D
標高3033m 標高差997m 平均斜度14.1°
登り4:20(4.1km) 下り2:50(4.1km)
歩行距離は短いですが斜度は大きめ。
また標高2036mの北沢峠からスタートとなりますが
日帰りだとバスを使って一気に標高を上げることとなるため
高地順応しづらく高山病を発症しやすいのが難点です。

展望:B
小仙丈ヶ岳の手前あたりから森林限界を超え
白根三山や甲斐駒ヶ岳をはじめとする
南アルプス北部の絶景が周囲を取り囲みます。

総評:A
晴れていれば富士山、北岳、間ノ岳という
国内標高1~3位の並ぶ絶景を見れる唯一の山となります。
本文にも書きましたが日帰りだとバスの時間がシビアなため
北沢峠に宿泊し1泊2日で仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳を登るのがセオリー。
中級者の南アルプス&宿泊デビューに最適な山です。

締めの一言
急いては事を仕損じる(‘A`)


登山ライダーの証として持って行ったKawasakiの帽子。
商品名通り水で濡らして被ることで気化熱で頭を冷却できる効果を持つので
普通に登山でも活躍するスペックを持っています。

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