百名山

百名山24座目:瑞牆山~英雄の末路~(14.06.21)

金峰山から戻ってきた際に富士見平小屋で休憩しながら暫し考える。
・・・このまま瑞牆山(みずがきやま)いっちゃうか?

時刻は13時。往復コースタイム的に日没には往復できる余裕がある。
だが金峰の標高にやられて高山病気味、
更に稜線で体を冷やしたようで激しめの頭痛が体を支配しているのだ(‘A`)

瑞牆山は金峰の隣にある百名山で
森から岩がニョキニョキ生えたような特異な山容をしている。
見た目の印象から鎖とかロープとかありそうな雰囲気で
難易度高そうに見えるのだが今の状態で行けるかどうか・・・( ゚д゚)ハッ!

俺は今日何しに来た?修行するためじゃねぇか。
できるかできないかわからないことに挑戦しないで何が修行だ。
英雄になった俺に不可能はねぇ!(゚∀゚)
謎の無敵感に背中を押され勢いだけで登山道を走り出した。



樹林の中から姿を見せる瑞牆の山容。
やはり厳つくどれが山頂かは定かではない。
天候も回復の余地を見せず不安は募るが・・・
もう行くしかない!

道中に大量のつっかえ棒が挟まっている大岩を発見。
エッ・・・こんなんで支えてんの?( ゚Д゚)
と一瞬思ったけどそんなわけないよな。
誰かの悪ノリが重なった結果だろう。

登山道は岩場の連続する結構な急登。
しかしこの岩を掴みながら四足歩行を意識すると楽に登れることに気づく。
足の負担は軽減されて満身創痍の体には優しい。
なによりアスレチック気分で登るのに夢中になる!

険しくはあるも登山道はしっかり整備されており
勢いだけでガンガン標高を上げることができた。

岩と格闘すること1時間。気づけば山頂直下にたどり着いていた。
目の前にそびえる岩の塔、これが瑞牆のシンボル・大ヤスリ岩だ。
これを・・・登るのか(;゚д゚)ゴクリ…
俺は英雄なんだ!不可能を可能にしてやる!!

やっ、、、た。
精鋭のクライマーのみがたどり着ける孤高の頂。
英雄と呼ばれた者にしか、ここに立つことは許されないであろう。

 

 

 

 

 

 

うそです
d(* ´∀`)b

あんなん登れるわけねぇじゃん(´Д`)
そもそも山頂じゃないというね。
大ヤスリ岩はスルーして登り続け山頂を左後ろから回りこむように
登山道を歩き最後は梯子を登るだけで登頂。
御覧の通り多数の登山者で賑わう平和な頂でした(´∀`)ノ



平和とはいえ南側は切り立った断崖になっており覗き込むと足がすくむ((( ゚Д゚)))
悲鳴を上げている他の登山者達が微笑ましかったw

一瞬晴れて大ヤスリ岩の全貌が垣間見える。
霧と相まって険しさがより際立つ・・・これは良い画だ!

山頂から見る大ヤスリ岩の稜線。ここに登山道は切れないな・・・
裏側が登れる斜面になっていて良かった。
この後すぐに霧がかかり視界は真っ白に。
一瞬だけ努力を報いてくれた瑞牆山のやさしさを感じた瞬間だった(´;ω;`)

景色が無けりゃ飯を楽しむ!
金峰山でほとんど食べてなかったんで空腹は限界に近い( ꒪﹃ ꒪)
今回は大台ヶ原山にてあーちゃんに教わったサラスパスタに挑戦。
英雄たるもの山飯程度は極めておかねばな?←

ここで天才的発想を閃く💡
・・・茹で水でコーヒー作ればいんじゃね?
水再利用!
時間短縮!
ガスの節約!
もうやらない理由がねぇ。
ククク・・・俺様頭脳まで英雄で困っちまうぜ( ̄ー+ ̄)

景色の無い残念な山を華麗な山飯でフィニッシュするのだ!
茹で水を豪快にコーヒーフィルタに流し入・・・!

やっちまった(‘A`)

パスタを茹でる→デンプンで水が粘る→コーヒーフィルターを通らず溢れる
→焦って鍋を遠ざける→konozama\(^o^)/

なんとか救出してソースを混ぜたものの
麺の分量が明らかに足りておらずしょっぱくて食えたもんじゃない。
急いでコーヒーで口直ししようとするも
デンプン混じりのドロッとした口当たりと風味で飲めたもんじゃない。

ウボァー(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

濃霧の頂で英雄の断末魔が響き渡った。



景色も体調も山飯もダメ・・・もうマヂ無理_(´ཀ`」 ∠)_
実力もないのに英雄と名乗った男の哀れな最後だった←

正気に戻り謙虚に山頂を後にする。
振り返ると僅かに見える瑞牆の山肌。
岩々とした本来の姿も、かりそめの英雄の姿もそこにはなかった(∵)

駐車場までの林道をトボトボと歩く。
パートカラーの景色が心情と重なる(∵)

最後の林道ゲートを越える。
パートカラーの風景が、虚無になった心情を表現していた(∵)

PM17:00、相棒の元へ帰還。行動時間ジャスト12時間(;´Д`)
こんな長時間山中に居たのは過去最長じゃないか?

一日で別々の山を2座登ったことは何度かあるが
一回の登山で2座同時に登ったのは初めて。
前者と違い緊張の糸が切れないので疲労感が全然違う。
体力や精神のコントロールが大変だった。

しんどかったけど五丈岩ではクライミング経験積めたし
瑞牆では山飯盛大に失敗して勉強できたし
『修行』の目的は果たせたと言えるだろう。
できなかったことは、これからひとつひとつクリアしてしけばいい。

三百の頂に立ち
真の英雄となる漢の物語は
まだ始まったばかりだ。

To be continued…

ルートレビュー

難易度:C
岩の露出した急登で短い鎖、ロープ、
素手を駆使してよじ登る箇所多数。
かといって滑落の危険はなく
道間違い防止柵やテープなど整備はバッチリなので
純粋に岩場での体の使い方を学べる登山道です。

体力度:D
標高2230m 標高差423m 平均斜度14.4°
登り2:00(1.7km) 下り2:10(2.7km)
標高差もコースタイムも初心者向けですが
上半身駆使する箇所が多いので
普段の登山とは違った疲れ方をするかも。
金峰山との二座同時踏破となるとB判定になります。

展望:D
曇りのジャッジですが眺望があるのは山頂のみ。
山頂の断崖と周辺のヤスリ岩が見えれば御の字でしょう。
晴れていれば金峰、浅間、富士、八ヶ岳連峰の大展望が広がります。

総評:C
四足歩行で登るという経験が新鮮で
景色無くとも総合的に楽しい山です。
一泊二日で金峰と一緒に登ったり
日帰りでまとめて修行したりと
幅広い登り方に対応した山と言えます。

締めの一言
失敗することより挑戦しないことを恐れろ。

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