百名山

百名山31座目:北岳~紅蓮天翔~(14.07.27 Day.2)

Day.1はこちら

テントに籠ってどのくらい時間がたっただろう。
黄色いフライシートに増幅された陽光で我に返るΣ(゜o゜)
高山病で朦朧として寝たのか寝てないのかわからないが、、、
一晩この標高に滞在したことで高地順応は完了して頭痛は収まってる。

隣から俺を呼ぶタカさんの声・・・
とりあえずお互い生きてはいるようだ(;^ω^)
太陽に誘われて軽やかにテントから這い出てみた。



目の間には富士山の隣に昇る朝日!
いきなりの絶景で活力が漲る٩( ‘ω’ )و

しかし已然として風は強いまま。
烈風が北岳山頂にまとわりつく雲を引きはがしていた。

間ノ岳方面は雲の中・・・
テントを張って余計な荷物置いたまま往復するつもりでいたのだが
このまま離れると爆風で全部飛ばされそうだったので
今回は泣く泣く諦めることにした(´;ω;`)

二人でテントを撤収しているとなんとタカさんのテントポールが曲がっていた。。。
耐風性のある山岳テントですらこうなるなんてアルプスは恐ろしい場所だ((( ゚Д゚)))

俺たちに残された最後の希望は北岳の山頂を取ること。
動き出すとまた頭痛が疼く。
『風が騒がしいな。。。くっ、、、鎮まれ、俺の高山病!』
これは中二病か←
そんな感じでふざけながら尾根を登り続けていると
憧れのピークが目の前に近づいてきた。



山頂に立った瞬間、喜ぶ間もなくさっきまで荒れ狂っていた風が一瞬で凪ぐ。
そして・・・

全身から虹色の光が放たれる。
【‐紡がれし光の波動‐ インフィニティ・リヴァイヴァー】
これが、俺に秘められし天候操作の力!٩( ゚Д゚)و

・・・中二病はこのくらいにしておくか←
なんと風が凪いだ瞬間に珍しいブロッケン現象に遭遇したのだ。
(※太陽などの光が背後から差し込み、影の側にある雲粒や霧粒によって光が散乱され、
見る人の影の周りに、虹のような光輪の現れる自然現象。by Wikipedia)

登頂した瞬間にこんなおいしい思いしていいのか?
感動と興奮で尋常じゃない鳥肌が立つ。

嵐の去った頂からはだだ絶景が広がるのみ。
南東には静かに佇む端正な富士に息を呑む。

北東には雪渓と鳳凰三山を見下ろす。
昨日はあんなに大きく見えたのに下からと上からで全然印象違うなぁ~
お前たちに迫力に背中を押されて俺はここに立つことができたよ(´;ω;`)

南西には白根三山を構成する間ノ岳への稜線と塩見岳が見える。
国内で3000mを越える稜線歩きができるのはここだけ。
めっちゃ歩きてぇ、、、今になって晴れてくるのが少し悔しい。

北西には「南アルプスの女王」と称される仙丈ヶ岳の姿。
山頂に滞在する間どこかしらに雲かかっており
すっぴんを拝むことは叶わず・・・
フッ、恥ずかしがり屋な女王様だぜ←

そして真北には甲斐駒ヶ岳。
白い花崗岩に覆われた山頂は夏でも雪に覆われたかのようだ。
北岳から見えた山は全て百名山に選出されており
いつか登る時が来ると思うとまだ鳥肌は治まらなかった。



俺の胸に刻まれた『山』の文字。
タカの背に刻まれた『岳』の文字。
俺たち『山岳』コンビは南アルプス最高峰で再び熱い掌を交わす。
草津白根山での漢の約束、今果たしたぞ!!(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

鳥肌が立ちすぎて鳥になってしまったワタクシ←
この大空に翼を広げ飛んでゆきたいな。

タカ『俺たちは栄光をこの手に掴んだのさ!!』
俺の影響で中二発言が多くなる彼←

本当にいくら滞在しても飽き足りない頂。
心ゆくまで山頂を歩き回り、この絶景を脳裏に刻み付けた。

こうして1時間ほどはしゃいだ後、山頂を去る。
名残惜しく振り返ると国内1,2の頂が並んでいた。
また必ず登りに来よう!



30分ほど下ると北岳肩の小屋に到着。
ここがタカさんの両親が出会った場所だ。
彼にとっては幼少期から世話になっているようで
管理人さんに挨拶しただけでいきなりコーラが出てくるVIP待遇←

タカ『いや~めっちゃ落ち着くわ~(*’ω’*)』
と実家のような安心感で上機嫌に室内を練り歩いていた。

そしていきなりうどんも出てくる。
マジで実家やん。いいんすかこんな貰っちゃって・・・
やはり持つべきものは北岳で知り合った親を持つ友人だね!←いねぇよ

暫く休んで心身共に温まった我々は小屋を後に。
小太郎尾根分岐を過ぎた先の凄まじい急斜面を一気に下る。
地図を見ると浅間山と同じく草スベリという地名がついている。
急登の斜面につきがちな名前みたいだな・・・

草スベリをクリアし白根御池小屋にて最後の休憩。
ここにもタカさんの知り合いが働いており談笑を繰り広げる彼。
山に深く根差した人であることに密かに憧れるのだった。

14時前に野呂川のつり橋に帰還。
行きのタカさん→ᕦ(ò_óˇ)ᕤ
帰りのタカさん→orz
まぁ・・登りであれだけ打ちのめされればそうなるわな←

バスに揺られて奈良田駐車場に無事帰還。
早川の清流と共に雲に覆われた北岳方面を眺める。

今回は試練の連続でアルプスを登るとは何たるかを叩き込まれて
ほろ苦いデビュー戦となってしまった(~_~)
それでも登頂はできたし頑張った分のご褒美も
しっかり魅せてくれたのは山の懐の深さというべきか。

山頂から眺めた百名山に挑む際、また同じ苦しみを味わうかもしれない。
でもここで一度辛い経験をしておけば、次は楽に乗り越えられるはず。
それを知れただけでも今日の挑戦は確実に価値がある。
原点にして頂点へ向かう男達の挑戦は大成功に終わったと言えるだろう。

俺『景色的には最高だったけど身体的はボコボコにされたね( ꒪﹃ ꒪)』
タカ『同感。。。俺ももっと鍛えておくわ(;´Д`)』
互いにもっと強くなることを誓う。
奈良田を背にしてZoom⁻Zoomのエキゾーストノートが響き渡った。

ルートレビュー

難易度:C
雪渓歩きは滑りやすくアイゼン必須。
残雪状況によってよく通行止めになるので要情報収集。
八本刃のコル付近に少しだけ梯子やロープ登りがあり
程よい難易度を楽しめます。

体力度:B
標高3193m 標高差1668m 平均斜度18.7°
登り5:50(5.2km) 下り6:35(7.6km)
アルプスだけあって標高差は大きいですが歩行距離は短いので
高山病耐性のある健脚者は日帰り登頂も可能な山です。

展望:S
序盤の30分のみ樹林でそれ以降は驚きの連続。
鳳凰三山を背に登る大雪渓と頭上にそびえる北岳バットレス。
八本刃のコルからは白根三山の稜線と富士山。
山頂からはこれまでに見えた全ての景色を見下ろしつつ
甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳の壮大な雄姿を拝めます。

総評:S
岩壁そびえる端正な山容。
南アルプス北部の名峰取り囲む超絶景。
日帰り、宿泊、縦走全て可能な多様なルート。
日本第二位という肩書き。
どの要素も一級品で是非とも登る価値のある山です。

締めの一言
変われる強さ、変わらぬ想い。


記念すべき初の山岳テント。
1人用で1.34kg(総重量)
ソロ山岳テントの価格帯は大体4~7万程度ですが
これは44000円と安い部類に入ります。

テントサイズは1人,2人,3人,4人,6人の5種類。
フライシートが1,2人は白,青,黄,緑の4色、
3~6は青,黄の2色展開。冬季用のスノーフライも完備。
と、他メーカーと比較して屈指のバリエーションを持つのが最大の特徴。

組み立ては釣り下げ式のため初心者でも簡単かつ
強風時にも組みやすいというメリットもあります。
またグランドシートとフライシートのみを組み合わせて
自立式タープとしても使うことができるため死角がありません。

欠点としては短辺側に出入口があるため若干通気性が悪いのと
前室が小さくなってしまうことくらいでしょうか。
とにかく初心者がテント泊デビューするにはピッタリなアイテムです。

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