百名山

百名山46座目:奥穂高岳~最初で最後の最高峰~(14.09.21 Day.1)

前哨戦である焼岳登山記はこちら。

いよいよ決戦の朝を迎える。
この日登るのは長いこと憧れだった奥穂高岳。
西穂高岳・前穂高岳・北穂高岳と複数ある穂高連峰の中心に座する最高峰。
また北アルプス最高峰、日本第三位の高峰、日本三大岩場の一つ
と、肩書きを上げればキリがない。

思い返せば三大アルプスの初登頂は
南→北岳(3193m)、中央→木曽駒ヶ岳(2956m)、北→奥穂高岳(3190m)
と全て最初から最高峰にアタックする挑戦を忘れない姿勢を貫けているなぁ。
“アルプス初挑戦”もこれが最後と思うと感慨深い。
焼岳は前哨戦だしノーカウント(  ゚∀ ゚)

今回の大縦走は全3日の工程。
初日は新穂高温泉から白出沢を経由し奥穂高岳を取って穂高岳山荘でテン泊の予定。
重装備を背負ったまま標高差2101mを
わずか10㎞の短距離で駆け上がるという地獄のようなルート(‘A`)
標高差と過酷さは今までの山とは比較にならない。

連日登山で培った体力、北岳で積み上げた宿泊スキル。
今持てる力の全てをぶつけなければ登れない今年の集大成と言える登山になるだろう。
どうせいつかは登るのだ。
この試練を乗り越えなければ百名山ハンターとしての明日はない。
幸い今回は苦労を分かち合う仲間が居る。
山頂で共に笑う瞬間を、常に胸に描いておこう!
熱い想いを胸に秘め、寒い車から這いずり出た_(´ω`」 ∠)_



まだ日も登らぬ早朝5時に起床し準備を始める一行。
タクヤは無事到着しておりバスでこちらに向かっているようだ。
装備を整えた我々は駐車場から新穂高ロープウェイ駅まで徒歩で向かう。

駅で暫く待機しているとタクヤを乗せたバスが到着。
各自再会の言葉をかけ、5:45にようやくアタックメンバーが揃う!
踏破を誓って拳を突き合わせると奇跡的にタクヤと時計が被るw

さぁ野郎共、出発だ!( ・ㅂ・)و ̑̑
今回タクヤに4人寝れる大型テントを背負ってもらっている。
伊吹山であえて重装備で登っていたのはこの時のためだったか。
お世話になります(-人-)

まずは白出沢へとぶつかるまで右俣林道を黙々と歩く。
北海道遠征その後や焼岳の土産話で盛り上がりあっという間に時間は過ぎてゆく。
樹林の切れ間からは時折笠ヶ岳隣のピークである抜戸岳が見え
アルプスへの期待感は否応なしに高まる!



2時間程度で白出沢出会に当たり勾配のある本格的な登山が始まる。
この時点で距離だけでいえば既に工程の半分以上である5.7キロを
歩き終えていたが高度計を見ると稼いだ標高はわずか500m。
・・・ってことは残り4キロで1700mも上げるのか?(;゚д゚)ゴクリ…
本当の闘いはここからだと悟る。

ある程度登ってから振り返ると笠ヶ岳~抜戸岳の美しい稜線が飛び込んできた!
今日はこの絶景に力を貰いながら登ることになるだろう/ ^o^\

進むにつれて勾配は増し梯子も出てくる登山道。
まだ笑う余裕のある野木さん(^-^)
・・・この後に地獄が待つとも知らずに←

見上げる先は瓦礫で覆われたエグイ角度の斜面が延々と続いている。
こんなんがあと4キロも続くの・・・(‘A`)

沢の左に切ってある不安定な登山道をチェーンをつかみながら進む。
太陽当たらないから鎖が冷たいのなんの(((°Д°)))

9:00ジャストに救いの太陽が谷まで差し込んできた\(^o^)/

太陽で温められ笑顔を取り戻す一行٩( ‘ω’ )و
まだまだバテるには早いぜ!

出発してから4時間半程度過ぎてやっと標高2000m超え。
まだ1200もあるとか信じられない・・・( ´Д`)

タクヤ『おお、名峰笠ヶ岳。綺麗やな・・・』
各自背後の笠ヶ岳の雄姿に力を貰っているようだ。
・・・人生も辛いときはちょっと休んで振り返ればまた進めるんだよな。
色々な気づきを与えてくれる山に感謝(-人-)



登り始めて6時間経過。昼を過ぎたが地図見ると
まだ白出沢の半分程度で軽く絶望する( ꒪﹃ ꒪)

このあたりからガレ場を直登するルートに変化。
歩く場所にマーキングはついているのだが結構分かりづらく
常にルートファインディングを強いられる。
しかもルートを外れると浮石だらけで何度もつまづいたり
足を捻ったりするという心折設計な登山道が続く( ´Д`)

壁のようなガレ場に終わりは見えない。
上に山荘らしき塔のようなものが見えるが
歩いても歩いても全然近づかない意味不明な状況に気が狂いそうになる(。д°)

現実逃避しようと振り返って笠ヶ岳を眺めていると突然背後から
『ゴッ!ゴッ!』っと鈍い音が谷に響き渡り巨大な落石が襲来!
幸い途中で止まって事なきを得たのだが全員肝を冷やす(((°Д°)))
心の休まる瞬間が全くなく精神がどんどん削られていく。
まるで奥穂に『そう簡単には登らせねーよ?/ ^o^\』
と言われているような気がした。

あまりの過酷さに全員グロッキー状態。
とりあえず岩場にへたりこみ昼食をとりながら英気を養うしかない。
この後は全員無言になりひたすら足を前に繰り出し続けた(˙ー˙)

激坂との6時間による激闘を終え14:30にやっっっと穂高岳山荘に到着!
・・・まじで吐きそうになるくらいしんどかった( ꒪﹃ ꒪)
メンバーの顔にも疲労の色が見える。

改めて周囲を見ると小屋もテントもスゲー場所に建ってる( ゚д゚)
標高はほぼ3000m。稜線上だし強風の日はテント吹っ飛んでしまいそうだ。

テント場の受付を済ませまずは場所確保。
建てる前に先に山頂をさっさと取っちまおう。
宿泊装備を全て投げ捨て空身となって山荘を出発!(´∀`)=3



山荘出発していきなり長尺の鎖&梯子登り。
また奥穂の『そう簡単にry』って声が聞こえる←

梯子を登り切って周囲の景色を見ると『うわっ・・!( ゚д゚)』
と思わず声の出るすんげぇ景色が広がってた。
視線の先にあるのは・・・まさか槍ヶ岳!?
人生最大に近づくことができて興奮を抑えきれない(  ゚∀ ゚)

進む先を見るとついに奥穂の山頂が見えてきた。
空身で軽快に進めるかと思いきや全然ペースが上がらない・・・
3000mを超え高山病の症状が出始めていることを実感する( ꒪﹃ ꒪)

辛いけど太陽が俺たちの雄姿を輝かせてくれるから先に進めるのさ←

左手を見ると切れ落ちた谷の先には涸沢。その奥を走る常念山脈。
高低差と景色のすさまじさに言葉が出ない・・・
決して高山病なわけではない



ハイパーズームで槍ヶ岳を狙う。
まじでかっこよすぎだろ・・・(‘A`)

先をゆく3人が立ち止まって何かを眺めている。
その先に見えたのは・・・

ドーム状の特異な岩峰が気高くそびえていた( ゚д゚)
これはジャンダルムという名のピーク。
フランス語の国家憲兵の意味で転じて尾根上の障害物となる岩のことを言うらしい。

その形状・名前・登頂の難易度から北アの中では知名度のある山。
特に西穂高岳~ジャンダルムの区間はルートの存在する
登山道の中では最高の難易度を持つそう。
いつか百名山を踏破した暁には腕試しをしてみたいものだ( ・ㅂ・)و ̑̑

さぁ、俺たちは目の前のゴールに向かって歩き出そう。

新穂高温泉を出発して10時間。
太陽が陰りだす16:00に北アルプス最高峰・奥穂高岳の山頂へとたどり着いた。
やった・・・(´;ω;`)
全てを出し切った放心状態で暫く言葉が出なかった。
決して高山びょry



栄光の頂に立つ4人の野郎共。
ガチで登山始めて1年でも、北アルプス最高峰は取れるんだ!(´∀`)b

あとは太陽が落ちるまでこの絶景を嚙み締めよう。
・・・と背中で語るタクヤ氏。

ジャンダルムと記念撮影する野木さん。
きっと北海道の家族に送るのだろう(´∀`)

焼岳ちっさw
昨日は迫力満点だったけど北アルプス最高峰から見下ろすと可愛いもんよ。

ジャンダルムに堕ちる夕日。
西穂から歩き切って、もう一度この景色を眺めるぞ。。!

前穂高岳と明神岳の急峻の山稜。
改めて自分はすごい場所に立ってるんだなぁと悟る。
上高地からは前穂高岳を経由する奥穂までの最短ルートがあるようだ。
こちらもいつか挑戦してみたい。

連なる常念山脈と涸沢。
最後まで快晴で望んでいた景色は全て楽しめた。
ここまで頑張ってきて本当によかった(´;ω;`)
また訪れることを誓い、山頂を後にした。



山荘に戻ると同時に周囲は雲に包まれる。
寒くなってきたので全員で協力して素早くテント設置。
これはデカイくて安心感ある立派やつだわ。
2キロ以上はありそうだし運んでくれたタクヤにはマジで頭が下がる(-人-)

タ『みんな今日はお疲れ!!』
3人『ウェイ!!』(  ゚∀ ゚)つ🍻⊂(´▽`)
今日一日の頑張りを労って祝杯を挙げる。
疲れた体に勝利の美酒が五臓六腑に染み渡った(´¬`)

しかし気分がよくなったのは一瞬だった。
北岳の時と同じく歩かない弊害から酸素不足となり高山病が悪化。
更に普段飲まないアルコールによる頭痛のダブルパンチ←
とりあえず外の風を吸いにテントを出て星空を眺めて体を癒す。

『ハァハァ…経験上一晩寝れば高地順応して回復するはず( ꒪﹃ ꒪)』
すぐにテントに戻り寝袋にダイブする。
料理対決ROUND.2をやるつもりだったが
全員疲労困憊により各自テント内で次々と意識を失ってゆくのであった←

ルートレビュー(登りのみ)

難易度:C
梯子や鎖登りが所々出てくる上、
白出沢はルートファインディングと落石があるので
長時間気を張り詰める必要のある登山道です。

体力度:B
標高3190m 標高差2101m 平均斜度12.3°
登り9:55(9.9km) 下り0:30(0.5km)
白出沢出会いから後半の4キロで一気に1700m標高を稼ぐ必要あり。
この区間だけでいえば平均斜度は23°にもなり
難易度で書いた状況も併せて精神力が問われます。

展望:B
白出沢の序盤から背後に笠ヶ岳がずっと見え続け登頂を後押ししてくれます。
山頂からの景色はいわずもがな。
紹介した写真がシームレスにつながる絶景をその目で味わいましょう。

総評:A
標高差と斜度のエグイ山ですが
上高地から登れば標高差は抑えられ難易度も下がるので
中級者程度であれば登れてしまう幅の広さも魅力。
難易度に比例した絶景が心に刻まれる山です。

締めの一言
最高峰は最高なんだよ。

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